投手陣の奮闘もあり、リーグ上位をキープする今シーズンのカープ。今回のコラムでは、昨季からの課題である救援陣についてOBの大野豊氏に語ってもらった。※取材は5月上旬。

14試合に登板し6ホールドをマークするも、4月後半は不安定な投球が続いた中﨑。5月1日に抹消され二軍調整となった。(今年の春季キャンプで撮影)

◆予想通り安定感光る先発陣。誤算だった中﨑の不調

 開幕から良い戦いを見せてくれているカープ。特に、開幕から先発6人(大瀬良、森下、遠藤、九里、床田、玉村)でスタートして、それぞれがゲームをつくることができていた点では、投手陣の安定感が光っていました。

 さらに5月5日の巨人戦(マツダスタジアム)では、新外国人のアンダーソンが非常に良いピッチングを展開するなど、安定感のある先発投手が一枚増えたとみて良いでしょう。そういう意味でも、先発陣は非常に良く頑張っていると思います。

 一方、救援の防御率を見てみると、こちらは4月を終えてリーグ最下位です。今季は課題であるリリーフ陣の整備が期待されていましたが、シーズン序盤から不安定な面を露呈してしまいました。そういう意味では今季も、栗林につなぐまでの勝ちパターンを早い段階で整備することが求められます。

 リリーフ陣全体を見ていて気になるのは『四球の多さ』です。四球を与えることは、打たれる以上にもったいないことです。四球が増えれば周りにもいろいろな意味で不安を抱かせることになりますし、当然、自分自身も苦しくなってしまいます。すべてが無駄な四球ではないですし、勝負したうえで四球を出してしまうこともあるでしょう。しかし、4月のリリーフ陣を見ていると、勝負し切れない上での四球が少し目立っているのではないかという気がしてしまいます。

 リリーフ候補の投手を見ていくと、まず期待されていたのが復活を期する中﨑です。開幕から8回を任されるなどセットアッパーとして期待されました。しかし、打ち込まれる場面も目立ち、二軍での調整ということになってしまいました。

 彼が打ち込まれた要因を考えると、コントロールの精度が上がってきていないことが挙げられるでしょう。球速は出ているのですが、その速さを感じさせない球になってしまっているように感じました。一生懸命に投げているのに、球が生きていないように見えるのが残念でなりません。

 本人も状態が上がっていないことが分かっているでしょうから、さらに力みが増えて投げ急いでしまう。その結果、球に力が伝わらなくなっているのではないかと感じます。そうした中﨑の不安定な状況も、リリーフ陣に不安を与える結果になってしまっているのではないでしょうか。