投手陣の奮闘もあり、リーグ上位をキープする今シーズンのカープ。今回のコラムでは、昨季からの課題である救援陣についてOBの大野豊氏に語ってもらった。※取材は5月上旬。
◆『自分のリズム』と『タイミング』を守った投球を
リリーフ陣では、左のセットアッパーとして期待される塹江の状態も気になります。彼の持ち味は、強いストレートとスライダーを織り交ぜた投球ができるところですが、今はその強みがなかなか活かせていない印象があります。
考えすぎているのか、『引っ掛けぎみ』の投球になってしまっているのです。もう少し、良いときの感覚を取り戻してもらいたいと思います。
どのリリーフ投手にも共通して言える課題は『制球力』です。島内にしても、タイミングさえ合えば素晴らしいストレートが投げられるのですから、マウンドでも『自分のリズム』や『タイミング』を守った投球をしてほしいですね。ブルペンでの投球練習中も、実際に打者が立っていると思って、集中力を高めるような投球をしてもらいたいと思います。
次に、新人投手に目を向けてみましょう。まずドラフト5位の松本ですが、キャンプからオープン戦までかなり頑張って飛ばしてきました。その結果、少し疲れが出たのか、球に威力が感じられなくなってしまいました。
またドラフト1位の黒原は、やや安定感に欠ける印象があります。球に力はあるのですが、開幕前から指摘されていた制球力という課題が解消されないままシーズンに入ってしまった印象がありました。
両投手ともに二軍落ちとなりました(松本は5月24日一軍復帰)が、一生懸命な姿は伝わってきます。これから先、経験を積む中で『打者との駆け引き』といった部分も身につけてほしいですね。
いずれにせよ、この1カ月間の一軍での経験を踏まえながら、二軍で自分の持ち味を伸ばしつつ、精度をどこまで上げられるかという部分にこだわりながら取り組んでもらいたいと思います。