ここまでの交流戦、3勝9敗と苦戦が続くカープ。OBの笘篠賢治氏に、5月31日からの日本ハム3連戦を見て感じたことを語ってもらった。

6月1日の日本ハム戦で、今季初めて捕手として出場した中村奨成(今季の春季キャンプで撮影)

◆中村奨成の経験が浅いという理由で済ませてはいけない失点

 なんとか交流戦勝率5割で終わりたいところですが、負けるべくして負けている内容の試合が続いています。

 6月1日の日本ハム戦。1―3と2点ビハインドで迎えた9回。次の1失点をなんとしても防ぎたかったところで、2死一、三塁から一塁走者の清宮幸太郎が盗塁を仕掛けていきました。

 途中からマスクを被っていた中村奨成が二塁に送球し、その球が逸れてしまい、その間に三塁走者が生還して失点。このミスは痛かったです。あの場面では投手がカット、もしくは偽投などで重盗だけを避けないといけない場面でした。

 特に今季の日本ハムは重盗を仕掛けてくるチームですからね。翌日の試合でも3回表に重盗で先制され、日本ハムのペースでかき回されてしまいました。捕手の中村奨の経験が浅いという理由で済ませてはいけません。これはベンチから事前に指示を出して防がないといけない失点でした。

 そういった部分を含めて、交流戦は、チームとして戦っていく一体感が薄れているように感じます。投手陣が打たれてしまう、もしくは打撃陣が打てないというところ以外の部分で、やるべきことをしっかりやらないと勝利は勝ち取れません。

 連敗を止めた5月31日の日本ハム戦でも気になるところがありました。8回裏の攻撃、好投の床田寛樹に代わり、代打・堂林翔太が二塁打で出塁してチャンスメイクしました。

 気になったのはその直後でした。二塁走者に代走・曽根海成を起用し、打者は一番・野間峻祥。相手投手は左の宮西尚生でしたが、そのまま野間にバントをさせました。

 打球は捕手前に転がってしまいましたが、三塁守備に慣れていない石井一成が前に出てきてしまったことで、三塁でのタッチプレーができずに結果的にバント成功。続く菊池涼介の犠牲フライで1点先制となりましたが、これはカープにとってはラッキーな1点だったと言えます。

 野間はその日2安打と打撃の状態は良かったのですが、左投手を相手にバントをするには相当難しかったはずです。好投の床田を代えて、なんとしても1点をもぎ取りたい場面。100%送りたいのであれば、野間に代打・上本崇司を起用し、“絶対にバントを決めるんだ”、“このチャンスを生かすんだ”という姿勢を、床田に見せてあげたかったですよね。当然そうなると上本にもプレッシャーがかかりますが、バント成功の確率を考えたら、そういった起用でもよかったのではないかと思います。

 苦戦が続いている交流戦ですが、残り試合、当たり前のプレーをしっかりとやりながら、チーム一体となって戦ってもらいたいです。