いよいよ開幕した、第104回全国高等学校野球選手権 広島大会。甲子園への切符をかけ、県下85校83チームが熱闘を繰り広げる。

 本連載では、広島大会注目の選手をピックアップ。今回は、投打の二刀流でチームをけん引する広陵高・内海優太(3年)を紹介する。昨夏、まさかの4回戦敗退で涙を飲んだ内海が、悔しさの中から学んだこととは。

昨年の神宮大会で、高校の部・通算300号本塁打を放った内海選手

◆今大会屈指の左の好打者が、投打でチームをけん引!

 2021年、新チームで迎えた秋季大会。優勝候補と目されながら、広陵は3位に終わった。当然『優勝』の二文字を目指していた選手たちにとって、悔しい結果であったことは想像に難くない。

 すでにチームの主軸となっていた内海優太(うつみ・ゆうた)も、悔しさを噛み締めた選手の1人だ。

 秋季大会の直後から、チームは何度も話し合いを重ね、『自分たちに足りないものは何か』を考えた。『徹底力』や『声かけ』。基礎をいちから見つめ直すと決め、決めた以上は必ずやりきる。全員の意識が一段上がることで、チームワークも大幅に変わった。

 その後に出場した神宮大会での躍進は、誰もが知るところである。チームは準優勝という輝かしい成績を収め、自身も高校の部・通算300号本塁打を放った。

 3年春までの通算成績は14本塁打。時には投手としてマウンドにも上がるなど、投打において高いレベルのプレーを見せてきた。

 そんな内海にとって印象に残っている試合は、2021年夏の広島大会・高陽東との一戦。3年ぶりの優勝を目指した大会で、広陵は延長戦に突入する接戦の末に4回戦で敗退となった。  

「優勝はできませんでしたが、最終回で同点に追いついた3年生の意地を見て、『かっこいいな』と感じました。チームを引っ張る先輩たちの姿を近くで見てきたからこそ、自分も精神的に成長できたのではないかと思っています」

 先輩たちの後ろ姿を追いかけながら、後輩へのリスペクトも忘れない。

「1学年下の真鍋慧の存在も頼もしいです。スイングも力強いですし、大事な場面で打ってくれそうな雰囲気もあります。真鍋の活躍にチーム全体が鼓舞されるという、良い刺激も生まれています」

 真鍋とともに広陵打線の中軸を担う内海だが、打者でも投手でも、任された場所がどこであろうと全力でやりきる姿勢は、広陵での3年間で鍛えられた賜物だ。

 目前に迫った『最後の夏』に向け、「自分一人の結果ではなく、チームの勝利にこだわって、泥臭く全力でプレーしたいです」と内海は語る。

 目指すは2018年以来の甲子園出場、そして初の全国制覇。

 ひたむきに、チームのために奮闘する内海。彼の後輩たちもまた、その後ろ姿を追いかけているに違いない。

《広島大会データ》7月9日から広島県内8球場で開催。今大会のシード校は、広陵、崇徳、呉港、呉、大竹、広、三原、尾道の8校。決勝戦は7月26日、ぶんちゃんしまなみ球場で予定されている。