チームトップタイの8勝をあげ、監督推薦で初のオールスター出場を果たす床田寛樹。

 プロ野球の夏の祭典・オールスター。今年のマイナビオールスターゲーム2022には、カープから、森下暢仁・栗林良吏・床田寛樹・坂倉将吾・小園海斗の5選手が出場する。プロ野球選手の夢の大舞台で最高の栄誉といえば、やはり「オールスターMVP」。過去のカープ戦士でオールスターMVPに輝いた選手たちを振り返りたい。

◆古葉毅(1963年第3戦、1966年第3戦)

 1960年代のカープを支え、のちにカープ初の優勝監督にもなった古葉毅(竹識)。2021年に惜しくも鬼籍に入ったが、彼がカープの「初代・お祭り男」だったことに疑いはない。

 1963年の第3戦、延長10回表、同点のチャンスで代打で登場するとライト戦に勝ち越し二塁打を放ってMVPを獲得。1966年の第3戦では3回裏にヒットを放つと、5回裏にも鈴木啓示(近鉄)から2ランを放ち、2度目のMVPを獲得した。

 古葉といえば、俊足堅守のいぶし銀。キャリアを通じて二桁本塁打はなかったが、オールスターの大舞台で本塁打を放った。晴れ舞台での闘志は半端ではなかった。

◆山本浩二(1975年第1戦、1979年第3戦)

 広島のみならず、プロ野球界のオールスター男といえるのは山本浩二。1973~86年、14年連続でオールスターに出場し、41試合で14本塁打を量産。14本塁打は今もプロ野球史に残る歴代トップの大記録だ。

 伝説になったのは1975年の第1戦。前年に長嶋茂雄(巨人)が引退し、空席になったセ・リーグの3番に指名された山本。第1打席で本塁打を放つと、第2打席でもレフトにホームラン。6番・衣笠祥雄も第1~2打席と2打席連続ホームランをかっ飛ばし、アベック本塁打×2を達成。この年、初優勝を遂げたカープを象徴する伝説的な一夜になった。

 山本は1979年の第3戦でも初回に本塁打を放つと、同点で迎えた9回裏にもサヨナラ2ラン。1975年に3番に指名した中日・与那嶺要監督にとっては敵に塩を贈る形になったが、「セ・リーグの中軸」を見抜いた目はすごい。

◆ギャレット(1978年第1戦)

 地元・広島でのオールスターでやってくれたのは助っ人・ギャレット。初のオールスター出場、打順は7番だったが、第1打席、第2打席、第4打席にライトに特大アーチを架け、オールスター史上初の1試合3本塁打。伝説を築いた。

◆江夏豊(1980年第3戦)

 阪神時代に2度のオールスターMVPを獲得している江夏は広島時代の1980年にもMVPを受賞している。1971年第1戦では9者連続奪三振の偉業を達成しているが、1980年第3戦は1点リードの9回表無死満塁という痺れる場面で登板した。

 当然、江夏の「奪三振魂」に火が付き、3者連続奪三振でゲームセット。前年日本シリーズの「江夏の21球」に続く、リリーフ・江夏の大仕事だった。

◆正田耕三(1988年第3戦)

 正田耕三も持ち前の巧打を発揮した。1988年の第3戦、7回裏に代打で途中出場すると同点に追いつくタイムリー。9回表には好守で全パの勝ち越しを防ぐと、12回裏には試合を決定付ける先頭打者三塁打。途中出場ながら3打数3安打の活躍でMVPをもぎ取った。

 ちなみにサヨナラの犠牲フライを放ったのは、巨人の投手・水野雄仁。投手が代打で出てくるほどの総力戦だった。

◆金本知憲(1996年第3戦)

 2度目のオールスター出場。この年、初スタメンで2回裏に逆転3ランを放った金本がMVP初受賞。ちなみにこの試合では9回表に登板した佐々岡真司も3者連続三振でセーブを記録している。

◆前田智徳(2005年第2戦)

 4打数3安打2打点を記録した前田が初受賞。この試合では3番・金本知憲(阪神)、5番・岩村明憲(ヤクルト)も3安打を放ったが、打点トップの6番・前田が僅差で受賞。6番起用ながら存在感を見せつけた。

◆前田健太(2012年第2戦)

 全セの先発として3回を1安打無失点に抑えたマエケンがMVP初受賞。3回に2ランを放った坂本勇人(巨人)も有力だったが、最終回に併殺打を打ってしまったのが影響したのか、先発のマエケンがMVPを受賞した。

◆エルドレッド(2014年第1戦)

 全セの4番に座ったエルドレッドが3安打4打点の大活躍。7回にはホームランも放ち、試合を決定付けた。

◆會澤翼(2015年第2戦)

 本拠地マツダスタジアムでの開催。3回に先制ソロを放ち、黒田博樹、マエケンら6投手を巧みにリードした會澤翼がMVPを受賞した。

◆菊池涼介(2021年第1戦)

 4打数4安打1本塁打2打点の固め打ち。日本を代表する二塁手・菊池が初のMVPを受賞した。