7月27日に開催されたEAFF E-1 サッカー選手権 2022 決勝大会 韓国戦では、相馬勇紀(名古屋)のCKにヘディングで合わせ貴重な1点を上げる活躍を見せた佐々木翔。日本の4大会ぶり2度目の優勝に大きく貢献した。

 サンフレッチェの主将としてチームを率いる中で彼が感じているのは、今シーズンの広島が 「希望に満ちている」ということ。4つ目の星に向けての挑戦を続ける、ファイター・佐々木翔の言葉をお届けする。

 前編はこちら。

キャプテンマークをつけ3シーズン目を迎えた佐々木翔。守りの要としても存在感を増している。

◆数々の大舞台を経験し、逞しく美しい守りの要に

― 佐々木選手は日本代表として大舞台での経験を重ねてこられました。

 「日本代表はレベルが高いですし、日の丸を背負うというプレッシャーのかかる中で戦っていたので、メンタル面で逞しくなったと思います。どっしりと構えられるようになったというか、人として少し大きくなれたと思います」

― たしかに、ベテランの域に入り、年々逞しさを増しているように感じます。  

「経験を積んできたからなのか、歳をとってきたからなのかはわからないですけど(笑)。今年で33歳になるので、もうベテランですよね。これまで積み重ねてきた経験を生かしてチームに貢献していきたいです」

― 本誌でコラムを連載している吉田安孝さんは佐々木選手を、『ファイターで恐れることがない』と絶賛されています。佐々木選手は2016年、2017年と二度にわたって右ヒザの前十字靭帯を断裂し、2年間の戦線離脱を余儀なくされました。大きなケガを経験しているにも関わらず、恐れない姿勢を持ち続けるというのは、なかなかできることではないと思います。

 「いえ、やはりケガは怖いですよ。『もしまた今、同じようなケガをしたらどうしよう』と思うこともあります。でも僕は、自分のプレースタイルを変えられるほど器用ではないんです。ケガをしたときに一番怖いのは、自分の体が衰えていって自分ではなくなっていくことです。頭の中のイメージではボールを触っているのに、足が届いていない。体の反転が間に合わない。サッカーができなかった2年間で頭の中と体の動きにすごくギャップができてしまって、復帰した2018年もシーズン前半は納得のいくプレーができていませんでした。あのときはとにかくフィジカルを戻し、自分のプレーを元のレベルまで持っていくことに必死で、怖がっている場合ではありませんでした」

―2020年からは主将を務め、今年で3シーズン目を迎えます。自分の中での変化はありましたか。

 「変化はあまりありません。主将になる前から、チームに伝えないといけないことは伝えていましたし、主将になったから、3年目だからということもあまり関係ありませんね。ただ主将は円陣を組むときに一言、何か言わないといけないので、それを考えないといけなくなったくらいです(笑)」

―これからリーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と連戦が続きます。

 「今チームは好調ですが、常に相手を圧倒しながらプレーできているわけではないので、一戦一戦を大事に戦っていきたいです。順位もあまり意識していません。みんな地に足をつけて、まずは『目の前の試合をしっかり戦っていく』ということを意識しています。ただ、チームの雰囲気は抜群に良いです! チームメートも監督もコーチも、みんなが盛り上げて良いムードをつくってくれています」

― 先ほどの話にも出てきましたが、今年33歳です。この先の選手としての目標を教えてください。

「カシ君(柏好文)が昨シーズン達成した、 J1通算300試合出場は、なんとか頑張って達成したいと思っています。あと2年ぐらい出場し続けないと届かないので、なかなかハードルが高いのですが……。それと、最低でもあと一つ、是が非でもタイトルを獲りたいです。今シーズンは勢いがあって結果も出せていて、希望に満ちたチームをつくれていると思うので、なんとかして星につなげていきたいです」

佐々木 翔◎ささき しょう
1989年10月2日生、神奈川県出身
177cm・70kg/DF
城山高-神奈川大-甲府(2012〜2014)-広島(2015〜)
サンフレッチェ『鉄壁DFライン』の一角。特に空中戦では無類の強さを誇り、広島の最終ラインを堅守する。2019年、日本代表に初選出。EAFF E-1 サッカー選手権 2022 決勝大会に招集されると2試合でスタメン出場し、優勝のかかった韓国戦では貴重な1点を上げた。