8月6日の阪神戦で連敗を止めたカープ。勝負の後半戦に向けて、チームとしてどう戦っていくべきか。OBの笘篠賢治氏に語ってもらった。

つなぎのカープ打線において重要な役割を担う、2番を打つ菊池涼介。

◆7月30日の中日戦。菊池と坂倉の打席で見たかった攻撃的な采配

 中日の高橋宏斗にあわやノーヒットノーランかという敗戦から後半戦がスタートし、オールスターを挟んで7連敗。8月6日の阪神戦でやっと抜け出すことができましたが、なかなかしんどい戦いが続きました。

 今季最長の連敗となりましたが、7月29日からの中日との3連戦で一つも勝てなかったことが響きました。投手が頑張っているときに点が取れず、点が取れたら投手が踏ん張れずという、投打の噛み合わない試合が続いてしまいました。

 その中で気になったのは、7月30日の試合です。小笠原慎之介とアンダーソンの投げ合い。初戦を完封負けで落としたので、先制点をどう取っていくかというのが重要になってくるというところで、相手の配球を読みながら、足を絡めて戦いたかったのですが、そのタイミングを逃していました。

 まず気になったのは3回裏の攻撃。1死から野間峻祥がレフト前安打で出塁して、相手バッテリーは併殺打が欲しい場面で、続く菊池涼介はその狙い通り遊ゴロでの併殺打になってしまいました。

 この場面、2球で追い込まれるも粘って2ボール2ストライクのカウントに。フルカウントになれば走者が自動スタートとなるので、このカウントが勝負となります。となると、ほぼ確実にチェンジアップが来る場面でもありました。1塁走者が走れば盗塁成功率は上がるし、ヒットエンドランのサインを出して転がせば最低でも進塁打になります。しかし、ここで走らせるサインはありませんでした。結果的に菊池は遊ゴロに終わりました。

 続いて4回裏。1死から秋山翔吾が四球で出塁して、打席には坂倉将吾。一、二塁間に引っ張って、最低限でも走者を進めようという気持ちは伝わってきました。ただ、引っ張れるような球はなく、しつこく外角攻め。相手バッテリーがこういった配球でくるのであれば、四番の坂倉でもヒットエンドランを使っても良かったのかなと思いました。

 結局、ここでもサインはなく空振り三振。もし秋山の足の状態が悪いのであれば試合に出していないはずですから、遠慮せずに走らせて良かったはずです。先制点をもぎ取って流れを変えたかったのに、前半でそのチャンスを逃してしまい、結果的に2試合連続の完封負けとなってしまいました。

 8月2日からのDeNA3連戦もチームとしてはそんなに悪い感じではなかったのですが、連敗を引きずっている戦いをしてしまっていました。8月3日の二度のバント失敗も、チームが連敗していなかったら普通に成功していたと思います。負の連鎖で選手が固くなってしまっていました。

 2位争いを繰り広げていく中で、痛い連敗となりましたが、マクブルームも西川龍馬も一軍に戻ってきました。これでやっと相手チームから怖いと思われる打線が組めます。

 勝ち頭の床田寛樹の故障離脱は痛いですが、悲壮感を出さず、明るい雰囲気で戦い続けてほしいですね。阪神が前半戦の低迷から這い上がってきたのも、明るさを持ちながら良い雰囲気で戦ってきていたからこそ。1992年にヤクルトが優勝したときも、9月に引き分けを挟んで9連敗をしていました。それでも団子状態で優勝できたんですから。1つ勝ったことをきっかけに、気持ちを切り替えて、また勝ち上がっていってもらいたいです。