2022年8月16日、カープ一軍で佐々岡真司監督を含む8名の新型コロナ感染が報告された。急遽二軍から7選手が一軍昇格し、ショートスタメンを任されたのが、プロ2年目の矢野雅哉だった。

 2点を先制して迎えた2回、矢野は1死二塁の場面で打席を迎えるとライトスタンドへ飛び込む2ランホームランを放った。プロ初本塁打となった一発はマツダスタジアムに集まったファンを湧かせた。

 プロ2年目の矢野は、持ち前の守備力を期待され2020年のドラフトで6位でカープに入団した内野手。ここでは、入団前に行った(取材は2020年12月)矢野の独占インタビューを再編集してお届けする。カープ入団を目前に控えた矢野が語った、プロへの意気込みとは?

緊急昇格となった8月16日、チャンスを見事にものにしてみせた矢野雅哉(写真は2022年春季キャンプ(二軍)の様子)

◆自分の長所は守備。肩の強さをアピールしたい。

ー指名時の率直な思いを教えてください。

「12球団のうちどこかから、5位までに指名があるのではないかと思っていました。ただ指名されず、今回指名はないかと諦めかけていたんです。そんな矢先、カープから指名され、とにかく感謝の気持ちでいっぱいでした」

ーカープには大学の先輩である、正隨優也選手が在籍しています。

「正隨(優弥)さんは2個上で、大学の寮では一緒の部屋でした。指名が決まって『また同じチームでできるからお互い頑張ろう』と連絡をいただきました。正隨さんは、ものすごい練習量をこなされる方という印象で、すごく影響を受けました」

ー大学で主将を任されたことも、自身の成長につながったと感じていますか?

「そうですね。今年は特にコロナの影響で大会が中止になるなど厳しい環境だっただけに、例年以上に、主将としてチームを引っ張ることの大切さを学ばさせてもらったと思っています。言葉も大切ですが、意識したのは行動。先行きが不安な中でも、しっかり練習している姿を見せ、チームの士気を高めることを心がけてきました」

ープロでアピールしたいポイントを教えてください。

「自分の長所は守備。なかでも肩が一番の武器なので、三遊間の深いところからでもアウトにできる守備範囲の広さと肩でアピールしていきたいです。守備で大切にしているのは、どんな形でもアウトを奪うこと。そのために肩とスローイングを安定させることを意識しています」

ー大学では本塁から遠投してバックスクリーンに当てたことがあると聞きました。

「3年の春の出来事ですね。肩の調子が良かったので、自主練習の時間に、ちょっと試してみたんです。するとバックスクリーンまで届き、さらにその遠投をカープの松本有史スカウトが見てくださっていたようです。こういった遠投の練習は、この日以来やっていないので、松本さんに見てもらえたことは、本当に偶然の産物ですね」

ーいつからショートを守っていますか?

「中学2年の秋からです。小学校は投手、中学では捕手をやっていました。打者のスイングや投手が投げる球種から、打球がどこに飛んでくるのかを、ある程度、予測できるようになったのは捕手をやらせてもらった経験のおかげだと感じています」

ー打撃でアピールしたいポイントは?

「こだわりたいのは出塁率です。バントも含めて小技ができる巧打者を目指したいですね。目標にしているのは阪神などで活躍された平野さん(恵一。現在は台湾プロ野球・中信兄弟の打撃・内野総括コーチに就任)。ガッツ溢れるプレーも大好きで、平野さんのようなシャープな打撃を身につけていきたいと思っています」

《プロフィール》
矢野雅哉●やのまさや
1998年12月16日生、大阪府出身
171cm・72kg/右投右打/内野手
育英高-亜細亜大-広島(2020年ドラフト6位)