2022年8月16日、カープ一軍選手に新型コロナ陽性判定が報告された。陽性が判明し、チームを離れることになった選手は総勢8名。その中には、佐々岡真司監督の名前もあった。

 二軍選手たちが緊急昇格する中、監督代行としてチームの指揮を執ることになったのが、河田雄祐ヘッドコーチ兼外野守備・走塁コーチだ。

 2021年にヤクルトからカープに復帰した河田コーチは、佐々岡監督とは同学年。三連覇を支えた盟友でもある。鈴木誠也、菊池涼介、田中広輔ら主力選手を指導し、圧倒的な攻撃力でカープの三連覇を支えたコーチの帰還にファンの期待は高まった。

 2019年、2020年とBクラスに沈んでいたカープ。ここでは、2021年3月号に掲載した独占インタビューを再編集してお届けする。カープ復帰直後に河田コーチが語っていた、“カープ野球復活のキーマン”とは?

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2021年春季キャンプで、菊池涼介と笑顔で言葉を交わす河田雄祐コーチ。

◆タナキクはまだまだ老け込む年齢ではない

─ 2020年の佐々岡カープは、52勝56敗12分で2年連続のBクラスに終わりました。昨年のカープの戦いをヤクルトのコーチとしてどう見ていましたか?

「前半戦は、特に辛かったと思うんですよ。ただ後半戦は、若い投手が先発としてゲームをつくり、リリーフでは、ケムナ(誠)、塹江(敦哉)、フランスアが頑張っていたから試合になっていたと思います。もちろんひっくり返される試合もありましたが、勝つための形が決まったことで、カープらしい試合も増えていました。とはいえ、佐々岡監督にとっては苦しいシーズンだったと思うので、昨年の結果を踏まえて、いろいろ考えていきたいと思っています」

─佐々岡監督と河田ヘッドコーチは同学年です。河田ヘッドコーチから見た、佐々岡監督の魅力を教えてください。

「テレビを通して監督を見ているファンのみなさんのなかには、もの静かで堅い感じの人柄を想像される人がいるかもしれませんが、監督は人と話すのが好きで笑顔を絶やさない親しみやすい人柄です。今年は佐々岡監督にしかめっ面ばかりさせないようにしたいですね」

─報道などを見ていると、田中広輔選手と菊池涼介選手の2人の復活が浮上の鍵を握っていると口にされているのをよく耳にします。

「僕から言わせてもらうと、2人ともまだまだ老け込む年ではありません。あいつらだってまだ頑張れると思っているはずです。特に昨年(2020年)の広輔は、右膝の手術明けで、リハビリをしながらという面でも苦しんだ部分があったのでしょう。やっぱり膝が悪いと走ることができないし、野手としてのスキルを上げることもできないので、もどかしい思いもあったんじゃないかと思います。その思いを今年は発散してほしいですね」

─田中選手、菊池選手は、攻撃面・守備面のキーマンとして考えておられますか?

「そうですね、キーマンだと思っています。上位の2人が塁に出てお膳立てをして、返すべき人が返すのがカープの目指すべき野球。彼らに数多く塁に出てもらって、チームに勢いを与えてもらいたいですね」

 =後編へ続く=

《プロフィール》
河田雄祐●かわだ ゆうすけ
1967年12月22日生、東京都出身
右投左打/外野手
1985年ドラフト3位
帝京高-広島(1986〜1995)-西武(1996〜2002)

《コーチ歴》
西武(2003〜2015)-広島(2016〜2017)-ヤクルト(2018〜2020)-広島(2021〜)