8月22日、第104回全国高校野球選手権大会の決勝戦(甲子園球場)が行われ、仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を破り、初の優勝に輝いた。

 「どちらが勝っても初優勝」となる今大会決勝は、3回まで両チーム無得点の投手戦となった。均衡が破れたのは4回。仙台育英が先制点を奪うと、その後も7回に5点をあげるなど下関国際を大きく突き放し、東北勢初の優勝を果たした。大阪桐蔭(大阪)を破った下関国際は優勝には届かなかった。

 広島県代表として48年ぶりの甲子園出場を決めた盈進は、8月7日に山形県代表鶴岡東と対戦したが、7-12で敗戦となった。ここでは広島大会決勝のハイライトと、試合後に両校の監督・選手が語った声を改めてお届けする。

甲子園出場を決め、マウンドの寺田大和(3年)に駆け寄る選手たち。

◆盈進が48年ぶり優勝! 強打と機動力で甲子園への切符をつかむ

 高校野球広島大会の決勝が7月27日に行われ、3度目の優勝を目指す盈進と、初優勝を目指す尾道が対戦した。

 試合は1点を争う展開となったが、8回に盈進が一挙5得点をあげ、9対4で勝利。今大会に出場した83チームの頂点に立った盈進は1974年以来、48年ぶりとなる甲子園出場を決めた。

 初回、盈進は尾道の左腕エース坂本典優(3年)を攻め、1死二、三塁から内野安打などで2点を先制。さらに3回には秋田浩侑(3年)のタイムリーで1点を追加するなど、序盤から試合を優勢に進めた。

 一方、追う展開となった尾道は3回に2死一、三塁から4番・今井康輔(3年)のタイムリーで1点を返すと、6回には1死一、二塁の好機から2点を奪って同点とした。終盤7回、盈進は2死一塁から秋田のタイムリー二塁打で再び勝ち越すと、続く8回には尾道の守備の乱れなどもあり5点を追加し、尾道を突き放した。

 尾道は6点を追う8回に2死二塁から井上将大(2年)のタイムリー二塁打で1点を返したが、盈進の二番手・寺田大和(3年)に抑え込まれた。

 今夏、打率.615という驚異的な数字を残した盈進・秋田は「監督に言われてきたことは芯で強くということ。練習から抜けた球でも、体を起こして芯で強く打つということをみんなで意識できていた」と今大会の好調理由を語った。

 今回の広島大会は、昨夏優勝の広島新庄、春センバツ出場の強豪・広陵が、早々に敗れるなど波乱が続き、広島商業も準決勝で涙を飲んだ。結果的にはノーシードから勝ち上がった盈進が粘り強い戦いを展開し、優勝を勝ち取った。

 両校選手・監督の試合後コメントは以下の通り。

◆「恩返しができてよかった」朝生 弦大(盈進・主将)

 秋の大会までは、監督に言われて動くということが多かったのですが、冬以降、試合中でも選手同士でピッチャーの特徴など、しっかり話し合うようになりました。尾道の坂本投手は素晴らしい投手ですので、昨日からしっかりと対策と準備をしていました。チームが苦しい場面があったら主将の自分が助けようという気持ちでいました。優勝することができましたが、自分たちだけの力でここまで来れたわけではありません。チームメートや監督、保護者の方。スタンドのみんなも毎晩応援練習をしてくれ、学校のみんなもたくさん応援してくれました。恩返しができたので本当によかったです。

◆「自分たちの野球ができた」佐藤 康彦(盈進・監督)

 大会に入る前から、1試合1試合自分たちの野球をやっていこう、準決勝、決勝も変わらずやろうと伝えていて、7試合を戦い抜いたという感じですね。簡単には終わらない試合をしようと、選手たちと話をしていました。同点にされたときの守備など球際の強さは随所にでていたのかなと思います。このチームは“受け入れる”という言葉をよく使うのですが、味方のエラーからピンチを招いたとき、それを受け入れて次をどうするか……。メンタルの強さがでたなと思いました。選手たちには、本当にありがとうという言葉だけですね。