猛暑の中、リーグ戦、カップ戦を戦い抜いているサンフレッチェ広島。8月20日のG大阪戦では、15,000人を超えるサポーターの前で逆転勝利を収めるなど、シーズン最終盤に向け勢いが増している。

 ここでは、サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏に、2022年7月中旬からのサンフレッチェを振り返りながら、注目選手やプレーなどを熱く語ってもらった。

 吉田氏が『理想的で価値ある1勝』と語ったゲームとは……?(データは全て8月8日の取材時点)

今シーズン愛媛FCから広島に復帰した、ユース出身の川村拓夢。

◆サブの選手が流れを変える! 理想の展開でより成熟したチームに

 負の夏場を迎え、サンフレッチェ広島も苦しい試合が続いていました。7月6日以降はリーグ戦4試合未勝利と苦戦する中、チームに勢いを取り戻す1戦となったのが、8月6日の鹿島戦(○0ー2)でしょう。

 強烈な2トップを有する鹿島は、フィジカルも強く、相手に積極的にプレッシャーを与える戦術を取っている非常に良いチームです。6日の試合では、その鹿島を相手に3バックがしっかりと抑えながら、前半を0ー0で乗り切ったことが大きかったですね。8月3日のルヴァン杯・横浜FM戦(○3ー1)から中2日という日程で臨んだサンフレッチェの方が、コンディションの面では分が悪かったのではないかと思います。そんな中でも運動量を落とすことなく戦えたこと、そして何よりこの試合では、途中出場した選手たちの活躍が光ったことが印象的でした。

 ドリブルでボールを前線まで運んだエゼキエウ、ゴールにつながるクロスを供給した野上結貴、中央で相手DFを引きつけたドウグラス・ヴィエイラ、そして先制点を決めた川村拓夢……と、この得点に絡んだ選手はみんな途中出場の選手たちでした。

 そうした選手たちが試合の流れを変えた、試合を決めてくれたということでも、非常に価値のある勝利だったと思います。