シーズンも終盤に差し掛かり、負けられない戦いが続くサンフレッチェ広島。8月16日には新戦力のピエロス・ソティリウも加入し、さらなる攻撃力の向上が期待されている。

 ここでは、サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏に、2022年7月中旬からのサンフレッチェを振り返りながら、注目選手やプレーなどを熱く語ってもらった。

 7月、クラブ最多記録となる431試合出場を果たした青山敏弘。青山がチームにもたらす好影響を吉田氏が分析する。(データは全て8月8日の取材時点)

2004年から広島一筋でプレー、3度のJリーグベストイレブンにも輝いている青山敏弘。

◆チームの模範となる背番号6の姿。クラブ記録を塗り替えたベテラン

 7月10日の湘南戦(△1ー1)は、青山敏弘のJリーグ431試合出場メモリアルマッチになりました。

 ここまで、森﨑和幸と並んでクラブ最多430試合に出場していた青山でしたが、この試合でスタメン出場することで、クラブ記録を塗り替えることになりました。

 青山のすごいところは、今シーズンなかなか試合に絡むことができない中でも士気を落とすことなく、若い選手にも積極的に声をかけ、居残り練習をして……と、若い頃と同じ取り組み方を継続している点です。そうした姿勢が、今のチームの雰囲気の良さを生んでいる要因の一つになっていると思います。

 チームが非常に良い状態をキープできているのは、青山や林卓人といった実績のある選手たちが、たとえ自分自身の出場機会が減っていたとしても、周りに積極的に声をかけ、明るく、そして黙々とトレーニングを積んでいることも影響しているのではないかと思います。彼らの姿を見ていると、サッカー選手も『人間性』が非常に大切なのだと感じさせてくれますね。

 残念なニュースとしては、FC東京戦で負傷した東俊希の離脱があげられます。

 ここまで活躍が続いていただけにチームとしても大きな痛手になりますが、まずは手術を受け、しっかりと治してもらいたいと思います。青山のように、ケガをするたびにより逞しくなって復活してきた大先輩も身近にいますから、この先、逞しく成長して復活した東の姿が見られることを期待したいですね。

 現在チームはリーグ戦、ルヴァン杯、天皇杯と、いずれもタイトルを狙える良い位置で戦うことができています。

 もちろん、リーグ戦でトップを目指していくこと、ACL圏内を目指していくことは重要ですが、まずはカップ戦を確実に獲りにいきたいところです。

 クラブとしても、カップ戦にはいつも「あと一歩のところで優勝に届かない」という悔しい歴史があります。その壁をなんとか突破して、新たな歴史を刻んでもらいたいと思いますし、今のサンフレッチェには十分そのチャンスがあると思っています。今シーズンはここまで、目標もモチベーションも高いまま戦うことができています。

 勝ち上がることで試合数が増えるということは、選手にとっても活躍するチャンスが増え、やりがいのある良い循環を生み出せるということにもなります。

 今、ユニホームにはリーグ優勝の3つの星が刻まれていますが、4つ目は、また少し違った意味合いのある星を手にすることができれば良いですね。