高校時代はベスト8止まり、大学ではレベルの違いを目の当たりにした。それでも自分の武器を信じ、磨き、足を止めることなく走り続ける藤井智也。

 今シーズン、チームに欠かせない存在として輝きを放つ藤井の原点は、悔しさと向き合った学生時代にあった。ここでは、7月末に収録した、藤井智也・独占インタビューをお届けする。

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プレー中の藤井智也を見つめるスキッベ監督。

◆「負けたくない」気持ちが原動力。サッカー人生初のタイトルを目指す

―タイトルも狙えるシーズンだと思いますが、意気込みは?

「いま現在、天皇杯もルヴァンカップもリーグ戦も、すべてタイトルを狙える位置につけていると思います。タイトルを獲ることで自分の中でも『このチームに貢献できた』という成果が出るので、どのタイトルも狙っていきたいです。あとは、僕自身があまり優勝というものを経験したことがないんです。学生時代の大会でも早くに敗退してしまうことが多かったので、今年タイトルを獲ることで、サッカー選手としての醍醐味を味わいたいと思っています」

―高校時代はベスト8止まり、大学でも入学当初は周囲との差を感じて悔しい思いをしてきたと伺いました。そうした経験に基づいたハングリー精神が、今も藤井選手を支えているのでしょうか?

「そうですね……。僕自身、あまりプライドは高くない方なのではないかと思っています。でも、同世代の選手や同じチームの選手よりも活躍したい、上に行きたいという気持ちはあります。試合でも活躍できると気持ち良いですしね。選手としてのスポーツマンシップはもちろん大切ですが、マッチアップする相手に対しては、負けたくない、絶対に止めてやろうという気持ちで常に向かっています」

―7月19日から日本で開催されたEAFF Eー1 サッカー選手権には、サンフレッチェ広島から6選手が選出されました。チームメートが日本代表になることで、藤井選手自身も燃えるものがあるのではないでしょうか?

「正直、Eー1の代表はすごく意識していました。昔から考えたら、代表入りを意識できるレベルまできたということは一つの成長だと思っています。とはいえ、もちろん選ばれなかった悔しさもありますし、次こそは自分が活躍して代表に入りたいという気持ちもあります。ここ数試合はEー1 を意識して力んでしまった部分もありましたが、いまは心機一転して頑張れているので、この先、どんな時もこの気持ちを忘れないようにしたいと思っています」

―最後に、これからの意気込みと、ファンへのメッセージをお願いします。

「シーズン後半戦も進んでいる中で、優勝を目指すことを考えると落とせない試合が続きます。結果を出して勝利に貢献できる選手は、チームに欠かせない大きな存在になれると思うので、僕自身の結果もしっかり意識して戦っていきたいです。夏の暑い時期だからこそ、激しく、アグレッシブにプレーしてチームに貢献したいと思っているので、ぜひエディオンスタジアム広島に足を運んで、生で観戦しながら応援してもらえるとうれしいです!」

《プロフィール》
藤井智也●ふじいともや
1998年12月4日生、岐阜県出身
173㎝・68kg/MF
長良高-立命館大-広島(2020〜)
縦への推進力にすぐれた広島のスピードスター。
2022年8月時点Jリーグ選手別スプリント回数ランキングで1・2位を独占。50m5秒台の俊足と、試合最終盤でも衰えないスタミナを武器に相手ゴールを狙う。