高校時代はベスト8止まり、大学ではレベルの違いを目の当たりにした。
それでも藤井智也は、その足を止めることはなかった。チームのために走り続けた。試合の最終盤であろうと、ボールを受ければ何度も、何度も相手陣内まで駆け上がった。
自分自身の武器を信じ、磨き続け、ついに飛び込んだプロの世界で、チームに欠かせない存在として輝きを放つ藤井。ここでは、7月末に収録した独占インタビュー【前編】をお届けする。
◆「どこまで守備をすればいいのか……」戸惑いとともに幕を開けた今シーズン
―今シーズンは、開幕からほぼスタメンで出場されています。昨シーズンと比べて、藤井選手自身が変化したところ、進化したところはありますか?
「出場機会が増えてきた理由として、一つは『慣れ』があります。昨シーズン1年間で、サイドのウイングバックというポジションの要領をつかむことができたので、今シーズンはより落ち着いて試合に入れるようになったことが大きな要因だと思っています。難しいことはせず、自分の特徴を出すことを意識してプレーできているのも、昨シーズンと比べて良い変化なのではないかと思います」
―藤井選手が考える自分自身の特徴とは、具体的にどのような部分でしょうか?
「スピードと、それを繰り返すことができるスプリントです。ポジショニングや『いま走るべきなのか、いま行くべきなのか』という見極めも重要になるので、メリハリを大切にしながら取り組んでいこうと思っています。夏だからといってスタイルを変えてしまうと自分の良さも出にくくなるので、僕自身のスタンスはあまり変えずに、まずは行けるところまでやってやろうと思っています」
―6月末からは、リーグ戦、ルヴァン杯、天皇杯と連戦が続いていました。スタミナ面はいかがですか?
「正直、体力的にきつさを感じることもありました。ただ、スキッベ監督が合流してからは日頃のトレーニングでもハードなメニューが増えていましたし、監督が『試合に出続けていると体が慣れてくるよ』と言われていた通り、少しずつ連戦に対応できる体にもなってきました。さすがに連戦の合間の練習では体が重く感じることもありましたが、基本的にはスタミナ面も問題はありませんでした」
―スキッベ監督の練習では、特にどういったメニューが厳しいのでしょうか?
「まず、時間が長いことですね。ゲーム形式のトレーニングも多く、常に頭も使わなければならないので、その点でも大変です。練習の段階から球際の激しさも求められますし、休憩時間もあまりないので、はじめのうちは息が上がりっぱなしでした。慣れるまでは本当にきつかったですね。練習が終わる時間も遅かったのですが、その分、『ああ、練習してるなあ』という充実感も感じていました」
―練習を通して、特に身についたことや、成長を感じたことはありますか?
「ボールの奪い合いの際に、あまり恐れず行けるようになりました。守備の時に相手との間合いを詰めていけるようになったのも、練習を通して成長できたポイントだと思います。まだまだ足りていない部分もたくさんありますが、状況を判断する力も昨シーズンに比べて成長したのではないかと思っています。ビルドアップのところも落ち着いて入れるようになったので、スキッベ監督の練習は厳しいですが、続けていて良かったとも思っています」