熾烈なポジション争いこそがチーム力の底上げにつながっていく。ここでは、二軍で鍛錬を重ねるカープ若手選手たちの現在地に迫る。

 今回は2021年育成ドラフト2位で入団したルーキーの前川誠太の声をお届けする。

プロ1年目の今シーズン、二軍で42試合に出場している前川誠太(9月10日時点)

◆練習への意識を変えた、田中広輔からのアドバイス

 今季の二軍で、遊撃手として2番目に多く出場機会を得ているのが新人の前川誠太だ。

 勝負強い打撃とアグレッシブな守備を評価され、敦賀気比高から育成ドラフト2位で入団。プロで戦っていくための体づくりを経て、夏場以降、遊撃手での出場を増やしている。前川にとって遊撃手は小学校の頃から守っているポジションだけに、思い入れも強い。

「遊撃手は野手のなかでも華のあるポジションだと思っています。それだけにこだわりは強いです。今はとにかく、カープの遊撃手として活躍するんだという強い思いを持って、毎日の練習に励んでいます」

 カープの遊撃手として第一歩を踏み出した前川が課題としてあげるのはスローイング。プロとしてプレーするうえでの重圧が、高校までは生じなかった送球の乱れを生んでいる。安定した送球は遊撃手として活躍するための必須条件と言えるだけに、早い段階で修正していくことが求められる。

「練習ではキャッチボールから意識して取り組んでいます。プロの打球に対して捕球まではイメージ通りにできているので、スローイングを安定させて、目の前のアウトをしっかりとっていけるようにしたいです」

 遊撃手のレギュラーとしてリーグ3連覇に貢献した、プロ9年目・田中広輔のアドバイスも前川の背中を押している。

「広輔さんはキャッチボールが大切だとよく言われます。野手は、試合中に体が静止した状態で捕球することはほとんどありません。捕球の際には送球につながる動作が伴っています。なので、キャッチボールを捕って投げるの単純作業で終わらせるのではなく、送球につながる捕球ができるように、常に足を動かしながら捕るようになりました。また、広輔さんからは下半身を使うようにと何度も言われています。下半身は守備だけでなく打撃においても大事。プロで安定したプレーができるようになるために、まだまだやるべきことは多いです」

 歴代6位の635試合フルイニング出場を続けた百戦錬磨の田中と共に過ごす時間は、プロで生きていくために必要なことを教えてくれる。高卒1年目の前川にとっては二軍で過ごす一日一日が貴重な時間となっている。

「まだまだ体を大きくしないといけませんし、打撃においても課題は多い。先輩方の姿を見ながら勉強の日々です」

 支配下登録を目指すためには、韮澤雄也や矢野雅哉から二軍の遊撃手のポジションを奪う必要がある。ダイヤの原石は、今日も必死に自分の課題と武器を磨き続ける。

《プロフィール》
前川誠太●まえかわ せいた
2003年4月4日生、京都府出身
176cm・74kg/右投右打/内野手
敦賀気比高-広島(2021年育成ドラフト2位)