9月13日から3位阪神との直接対決に挑むカープ。逆転のCS進出に向けて、負けられない試合が続くだけに少しのミスが命取りになりうる。連勝が止まる完封負けを喫した9月8日の中日戦で感じた課題をOBの笘篠賢治氏に語ってもらった。

佐々岡真司監督、3年目にして初のCS進出に向けてラストスパートに期待がかかる。

◆もったいないことを積み重ねての敗戦は防ぎたい

 5連勝で勢いに乗ると思いきや、9月8日の中日戦はコリジョンルールが痛い失点につながってしまいました。この場面、捕手・會澤翼の左膝がついてしまっての判定だったと思うのですが、三塁走者・マルティネスが完全に行き場を阻まれていたら、その場ですぐに審判に抗議していたでしょうし、アウトになってベンチに帰ろうとしていたので、なんとも言えない感じでしたよね。

 ただ、これはルールなので仕方ないとしても、そのまま負けてしまったのは悔やまれます。

 まずもったいないと感じたのが初回の攻撃です。先頭の野間峻祥が四球で出塁して、2番の菊池涼介を迎えた場面。カープは勝ち頭の森下暢仁が先発しているので、送りバントで良かったはずです。まずは先制点がほしいところ。1点を取りにいき、試合を優位に進めていくことが必要だったと思います。相手の先発がプロ未勝利の上田洸太朗で、立ち上がりにコントロールが定まっていない部分もありましたが、結果的に併殺打となりチャンスを広げることができませんでした。

 また、打順に関しても、カード初戦、2戦目と連勝している中で、一番・堂林翔太を野間に変えて、調子が落ち気味のマクブルームと小園海斗がベンチスタートという組み替えがありました。ただ、良い流れで戦えているときは、そのまま選手に任せてやらせた方が意外と良かったりもします。

 もちろんいろいろな考えがあり、打者の調子の兼ね合いとかもあるはずなので悪いとは言いませんが、せっかく連勝しているのに打順をなぜ変えてしまったのかなと。少しもったいないと思ってしまいました。

 もう一つは、2点ビハインドの最終回の攻撃。2死から西川龍馬が四球で出塁して、続く坂倉将吾のライトへの安打で、西川は二塁でストップしましたが、三塁へ行かないといけない場面でした。

 たらればの話になりますが、この場面、外野が後ろに下がっていたので、2死からでも次の塁を狙い、一、三塁にしたかったところでした。そうなれば、一塁走者に代走・曽根海成を送り、盗塁を仕掛けて二、三塁にすることで外野は前進守備になるので、堂林翔太の打球が外野の頭を越えて同点打になっていました。

 一つ一つのプレーをきっちりとやって、それで負けたなら仕方がないですから。同じ負けでも納得のいく負け方をしてもらいたいですし、もったいないことの積み重ねがあると、どうしてもモヤモヤしてしまいますよね。

 9月13日からの3位阪神との直接対決は、クライマックスシリーズ進出をかけた最後の勝負になります。ワンプレーにこだわった戦いを見せてもらいたいです。