お笑い芸人として活躍中のザ・ギース尾関高文氏の本連載。これまでカープに在籍した歴代外国人選手を、時には厳しく、時には優しく、時にはユーモアを交えながら、尾関氏ならではの視点で紹介していきます。今回は、2020年にカープに在籍したホセ・ピレラ選手を取り上げます。

2020年にカープに在籍したホセ・ピレラ

◆「全て球団が望むようにする」という高い献身性

 失って初めて大切なものに気づく。それは助っ人外国人も同じこと。成績は悪くないけど、年棒もそこそこするし今年で自由契約にしておくか・・・からの、翌年他チームで大活躍パターンは球界に数多く存在します。

 カープファンの皆さんはニューヨークヤンキースで活躍したソリアーノを思い出すのではないでしょうか。とはいえ、もしカープにいても同じような活躍をしたとは限りませんし結果論でしかないのですが、それでもあの時もし移籍しなければ・・・などと考えてしまいます。

 そんな「カープを去って即活躍助っ人」に先日新たな1ページが加わりました。その名もホセ・ピレラ。カープにいたのは2020年ですからもうほとんどのカープファンは記憶に新しいですね。

 ヤンキース・パドレスと渡り歩いたピレラが来日した時の第一印象は「もう、絶対にいいやつ」でした。明るい笑顔に守備位置も「全て球団が望むようにする」という献身性。キャンプでヒットを打てば「チームとコーチのおかげでヒットが打てた」と感謝を口にする性格の良さ。それでいて野球への取り組みも素晴らしく、不動のレギュラーとしての期待は否が応にも高まりました。

 シーズンが始まると1番としてカープを牽引するピレラ。さらに助っ人外国人が日本に馴染む最も有効な手段「愉快な決めポーズ」まで。手裏剣を投げるポーズというおよそ令和では考えられない稀有なポーズを決めることで、ますます目が離せない存在となります。のちにこのポーズの指導者が長野さんであることが判明しますが、その長野さんの存在もピレラの支えとなります。長野さんとハイタッチをする時のピレラの嬉しそうな顔はこの世の誰もが守りたい笑顔でした。

 「どんな時でも全力でプレーしなさい」というベネズエラのお父さんの言葉をとても大事にしチームの空気を明るくするピレラ。フットガードが異常なほど内側を向いていたピレラ。日本食は全て好きだと言ってくれたピレラ。私服ではベネズエラの国旗をあしらったTシャツとスリムジーンズを履いていたという目撃談もあったピレラ。ボールボーイの清古さんがカープを辞める時バットをプレゼントした優とてもしいピレラ。

 そんなピレラは残念ながら1年でカープと自由契約となります。これがピレラの大活躍の序章になるとはその時は誰一人として想像できませんでした。

 今年ピレラは韓国のサムスンにて打率.344 ホームラン25本 打点100 (9/18時点)という素晴らしい成績を残しMVP候補にもなっています。

 もちろん韓国の野球と相性が良かったこともあるのでしょうが、ピレラの活躍を嬉しく思う反面カープにいてくれたら・・・と思ってしまいます。

 カープに少しでも関わった助っ人は確実に幸せな人生を送ってほしいので、この活躍は本当に嬉しいものです。諦めず「どんな時でも全力でプレー」するピレラファザーの教えはこんな幸せな結果になるのだと教えられました。

 カープを去る時「カープに戻ってくることが1番の希望」だと、言ってくれたピレラ。もうそんなことはいいんです。新天地で輝き続けるピレラを見守っていきたいと思います。

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ザ・ギース 尾関高文(おぜきたかふみ)
広島県東広島市西条町出身のお笑い芸人、熱狂的なカープファン。好きな歴代カープ選手はロビンソン・チェコ投手。 2012年に出演したアメトーーク「広島カープ芸人」で、「カープ OB の北別府さんはブログのコメントに全て返信する」と語り、北別府氏のブログを炎上させた経験を持つ。

[尾関高文公式Twitter]@geeseojeck