思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は今季のカープについて、オギリマ視点でゆる~く取り上げる!

◆5位のバリエーションは十分すぎるほど体験した

 5位である。

 2022年シーズン、カープは開幕6連勝を飾って幸先の良いスタートを切ったものの、交流戦で5勝13敗と大きく負け越し低迷。シーズン最終盤になって阪神・巨人とのCS出場を賭けた3位争いに食い込むも、地元で4連敗を喫し、結果として5位という順位に終わった。

 その悔しさはさておき、こういう結果になるとつい口をついて出てしまうのが「5位なら慣れている」という言葉。そう、カープはなぜか「5位」が多い気がするのだ。

 実際にカープ球団が創設された1950年から2022年までの順位を調べてみると、5位が21回と圧倒的に多い(次いで4位の16回、3位の10回、1位と6位はともに9回、意外にも少ないのが2位の6回である)。他球団のシーズン順位5位となった回数と比べてみても、DeNAの17回を抜いて堂々の1位だ。これをカープの「圧倒的5位力」とでも呼びたいところである。5位、それは最下位を免れているという点では良いことかも知れないが、決して喜ばしい順位でないことは確かだ。

 私がカープファンになった1990年前後、今ほど「カープ=5位」というイメージはなかったように思う。それもそのはずで、古葉竹識監督3年目の1977年から、三村敏之監督最終年の1998年まで、カープが5位に終わったシーズンには20年近くのブランクがあるからだ(その間に1993年の6位はあるにしても)。

 しかしその後、5位は多発する。1998年から今シーズンまでの25年間で、5位となったのは13回。カープの21世紀は5位とともにあったと言っても過言ではない。これがいわゆる「暗黒時代」と呼ばれるゆえんかも知れない。

 ところで、ひとくちに5位と言っても、そのあり方はさまざまだ。今シーズンのように「最後頑張れば3位だったかも知れない」という状況もある。1977年のように(私自身の記憶は無いが)、シーズンを通してほぼ最下位で、残り5試合の時点で5位大洋と5.5ゲーム差という状況から、最後に5連勝して逆転5位となった年もあった。一方4月に9連勝して「これは優勝に違いない!」と思わせておいて、6月以降に失速して5位に終わった1998年のようなケースもあった。

 われわれはこの20年ほどの間に、十分すぎるほどの「5位のバリエーション」を体験してきたように思う。来シーズン以降はこの「5位力」から脱却し、一つでも上の順位でシーズンが終えられるように期待したいところである。

 

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。