一方、今季も不動の4番打者として打線の鍵を握るのが鈴木誠也だ。「今年はあきらめた部分もあったので、この2カ月間は普通にオフという感覚でトレーニングをしていました。でも決まれば『しっかり開幕に向かってやろう』という気持ちになりました。開幕が決まってくれて本当に良かったと思います」と、6月19日に開幕決定したことを受け、素直に喜びを口にしていた。

 開幕延期が決まってからの3カ月間、当然ながら初めて経験する野球ができない状況でも、鈴木はポジティブな考えで割り切って練習を重ねてきた。

「今後、たぶん経験するかどうか分からないような出来事が起こって、1勤1休だったり、班が別れて練習をしたりだとか、いろんな経験ができたのは良かったと思います。しっかりと練習もできましたし、野球ができない辛さというのも感じました。逆にそういうことを感じられて良かったとも思います」

 練習試合が再開されると、6日のオリックス戦で本塁打、10日の阪神戦では3安打と、周囲から見た鈴木は至って順調なものだった。昨季までとは打順が変わった新打線の中で鈴木は不動の4番として、少しずつ試合勘を取り戻しながら開幕に備えてきた。
 
 困難を乗り越えて迎えることになる待望の2020年シーズン開幕は、前例のない無観客試合となる。

「1日でも早く球場でファンのみなさんにお会いしたいです。そのために、みんなで力を合わせて我慢して頑張っていきたいです」と大瀬良が話せば、「この状況が続く訳ではないと思うので、またお客さんが球場に来てくれたときにもっと活気あるプレーができるよう、頑張りたいと思います」と意気込む鈴木。

 開幕を待ちわびていたモニター越しの大勢のファンに勝利を届けるため、カープのエースと4番が強い思いを胸に、開幕のグラウンドに立つ。