新井貴浩監督就任後、初仕事となった2022年ドラフト会議。カープは育成契約を含む全10選手を指名した。支配下指名7名のうち4名が投手、そのうち3名は社会人と、課題と言われた投手陣の整備とともに野手の育成にも注力する方針が垣間見える指名となった。

 新たな戦力として期待される選手たち。ここでは、トヨタ自動車からドラフト6位で指名した長身右腕・長谷部銀次の強みと特徴を、アマチュア野球に詳しい安倍昌彦氏が解説する。

相手を圧倒する直球が武器。左のワンポイントとして期待

トヨタ自動車・長谷部銀次

【トヨタ自動車・投手】
長谷部銀次(はせべ・ぎんじ)

1998年7月29日生(24歳)/左投左打/184cm・85kg

 カープはおそらく、長谷部投手を中継ぎ、ワンポイントでの起用を想定して指名したのではないかと思います。彼は強く腕を振って投げたいタイプの投手で、初球では球が暴れるというケースが見られますが、プロの世界であれば、甘い球はジャストミートされてしまう恐れもあります。

 初球でストライクを取れるかどうか、そして初球で投げられる変化球を身につけられるかどうか、この2点の課題解消がこれからプロの世界で活躍するためには重要なポイントになってくるのではないかと感じています。

 そして彼の強みは、打者を圧倒できるストレートの破壊力です。都市対抗で登板した試合でも、ど真ん中のストレートで内野フライに打ち取ったり、ファウルでカウントを稼いだり、といった場面もありました。

 対戦する打者からすると、空振三振をしてしまいそうな、嫌なタイプの投手なのではないかと思います。彼は社会人ということで即戦力として期待されているでしょうが、ストレートを活かした左のワンポイントとして力を発揮してもらいたいと思います。

 杉田玄白の子孫ということで、家系の面で注目された部分もありますが、彼は球歴でも、中京大中京高から慶応大、トヨタと進んだエリートです。トップチームを渡り歩いているわけですから、そこで得た経験値を良い方向に活かしていってもらえればと思います。

広島アスリートマガジン12月号は、『恩師と選手が語る新指揮官の魅力』を大特集。 新井貴浩監督の話をしよう。月刊誌でしか見ることのできないビジュアルも満載です!