12月7日、マツダスタジアムで広島東洋カープの大瀬良大地が契約更改交渉を行った。4年連続で開幕投手を務め、選手会長としてもチームをけん引した大瀬良だが、今シーズンはコンディション不良での登録抹消など23試合登板に止まっていた。

 交渉後の契約更改会見での質疑応答は、以下の通り。

現状維持での契約更改となった大瀬良大地

◆監督が目指す野球、求めるものを先頭で体現して伝えていきたい

ー契約更改を終えられて、サインはされましたか?

「はい」

ー複数年契約期間中かと思いますが、金額に変化はあったのでしょうか。

「変化はないです」

ー球団からは、大瀬良投手にどのような声がかけられましたか。

「チームの中心として考えているし、しっかり頼むぞという言葉をいただきました」

ー今シーズンを振り返るという意味で、球団からかけられた言葉はあるのでしょうか。

「そうですね。やはり年間通して、球団が考えているような形ではシーズンを通して(ローテーションを)回れなかったので、そういうところは『年間通してフルに結果を残してくれることを望んでいるから』という言葉をもらいました」

ー大瀬良投手自身の2022年シーズンを振り返って、どのようなシーズンだったと思われますか?

「情けないシーズンだったなと、その一言に尽きると思います」

ー個人の成績をご覧になった時の思いは?

「すべての項目、数字において情けない数字が並んでいますし、当然悔しい思いもあります。そういう言葉しか出てこないです」

ー開幕戦での勝利から、シーズンの滑り出しは本当に素晴らしいものがあったかと思います。月間MVPも獲得されました。一方で、二軍で調整を経験された期間もありました。シーズンを戦う中で、ご自身の調子であったり、感覚というのはどうだったのでしょうか。

「感覚自体はキャンプに入った時から良くはなく、シーズンに入って月間MVPも取れましたが、正直なところ、その時も自分の中では良い感覚ではありませんでした。『良い感覚ではないけれど抑えられている』という時期があって、それがまさにその時期でした。終始『違うな』と思いながら、なんとか良い感覚を取り戻そうといろいろなことにチャレンジしたり、試行錯誤を重ねていたのですが、最後までうまくいくことなく1年が終わったという感じです」

ー今年1年間の収穫、課題をご自身でどのように捉えていますか?

「収穫は無いかなと思います。無理に挙げるとすれば、これほど苦しい思いをしながら1年間を通してやったことがないので、それが経験できたことくらいです。これも、本来であれば経験したくないものではあると思うのですが……。課題については、フィジカル、コンディション含めたすべての面において、『あれ』『これ』という一つ二つの課題ではなく、いろいろなところを変えていかないと、どんどん苦しくなっていくのではないかと自分の中では捉えています」

ーフィジカル面、コンディション面、さまざまな要因によって、1年間うまくいかなかったということでしょうか。

「そうですね。1年を通して五体満足で過ごせる選手というのはいないと思うので、その中でも結果を残していかなければいけないですし、そこに対してのアプローチはもちろんやっていましたが、結果として良い方向に行かなかったという感じです」

ー来シーズンからは、大瀬良投手もともにプレーをされた新井新監督が就任されます。どのように受け止めておられますか?

「非常にびっくりしたというのが、最初の思いでした。いろいろなことを学ばせていただいた方なので、なんとか力になりたいなと思っています」

ー就任が決まってから、新井監督から何か言葉をかけられましたか?

「期待をしているということと、『年間を通して、中心で(ローテーションを)回ってくれるものだと思っているから、それだけの準備をやってきてくれ』という(話がありました)。オフの取り組みや過ごし方については特に心配はしていないから、体をしっかり整えて2月に会おうという風にも言っていただきました」

ーさまざまな意味で、新しいチーム、新しいカープになっていくシーズンだと思います。大瀬良投手自身、10代、20代の選手からアドバイスを求められる立場になってくると思いますが、新生・新井カープでどのような役割を果たしていきたいですか?

「若い選手が多くなってきて、僕自身も上の年代になってきました。昨日の契約更改会見で菊池(涼介)さんが言っていたように、パイプ役ではないですが、監督がやりたい野球であったり、求めているものを若い選手に伝えていく、そしてそれを先頭で体現して、言葉と姿とで伝えていけるようになっていきたいと思います」

ーこれからどのような時間を過ごして、2月1日の春季キャンプを迎えたいとお考えですか。

「やることはたくさんありますし、いろいろなことにも取り組んでいます。しっかり体を良い状態に保ちながら、その中で良いトレーニングをして(いきたいと思います)。技術的にも磨いていく部分はたくさんありますし、シーズンオフに入っていろいろなことにも取り組んできました。(2月まで)『あと2カ月しかないのかな、もっと時間が欲しいな』という思いもありますが、しっかりと中身の濃い時間にしたいなと思います」

ーここまでに取り組んでいることがあるとの言葉がありましたが、具体的にはどのようなことに取り組まれたのでしょうか?

「見た目で分かる形で言うと、体重を少し増やしています。増やせば良いというものではないのですが、そこに応じて体の使い方もいろいろと変わってくると思うので、そのあたりの枝葉もいろいろやっています。今、感覚が良いと思うものがあっても、実際にマウンドに上がって結果を残さないとダメなので、来シーズン結果を残して初めて『こういうことに取り組んでいました。それが良い結果に結びつきました』と言えると良いなと思っています」

ー昨シーズンは体重を落としてシーズンに臨まれた部分もあったと思います。今は体重を増やしている、その狙いは?

「基本的には、『球にしっかり体重を乗せて投げる』というのが(自分の)もともとのピッチングスタイルだったかなと思っています。2018年の状態が良かった時には、しっかり体重もあって、今お話したような投げ方で投げることができていたのですが、肘の故障があって手術をした後は術後で不安もあったので、関節に負荷をかけたくない(というところに)そこにちょっと重点を置いて、体重を落としました。そういった中で、新しい自分が見つかるのではないかという思いでここ2年チャレンジしていたのですが、やはり自分の中でも感覚が戻ってこないところもありましたし、本来のピッチングスタイルではないなと感じたので、もう一度しっかりと体重を戻して、自分らしく良い球を投げられるようにという思いでチャレンジをしたいと思っています」

ー来シーズンは、3月31日がセ・リーグ開幕戦です。大瀬良投手が開幕投手を務めるということになると、黒田博樹さんに並ぶ5年連続の大役ということになりますが、思いや意気込みは?

「そうですね……。今一番考えているのは、『1年間通してチームに貢献したい』ということです。その中で(開幕投手に)選ばれるのであれば大変光栄なことではあるのでうれしいなとは思いますが、やはり1年間うまく自分のパフォーマンスが発揮できていないシーズンが続いているので、今の僕の頭の中では、(開幕投手よりも)そっち(1年間通してチームに貢献すること)の方が大きくなっています」

ー改めて、2023年シーズンをどんな1年にしていきたいかお聞かせください。

「やはり個人的には、すべての面で良い成績を残して、まずは1年間しっかりローテーションを守ることができれば勝手に数字はついてくると思っています。選手会長としてやるべきこともたくさんあるので、先輩たちの力を借りながら、若い選手たちに良いものを伝えて、良い環境で、しっかりチームをまとめていけるよう頑張っていきたいと思います」

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