7月中旬から1番に定着した西川龍馬選手が、二度目のV字回復の原動力となった。

 入団時から『天才』の異名を欲しいままにしていた西川龍馬が、プロ4年目にして完全に殻を打ち破った。8月には78年8月の水谷実雄、04年4月の嶋重宣が持つ球団記録に並ぶ月間42安打をマーク。後半戦から1番に固定されると、その能力はさらに開花した。

 課題の一つとして挙げられていた出塁率も大幅に上昇し、本人が目標として掲げていた『規定打席』にも到達。また8月の全27試合では前述の42安打、22得点と、ともにリーグトップの数字を記録。マルチ安打13度(うち猛打賞5回)、リーグ2位の打率.365、リーグ4位の出塁率.421の好成績を残し、野手部門で8月度の『大樹生命月間MVP賞』を初受賞した。

 今季の西川は球団単独2位の27試合連続安打や、球団新記録となる月間4本の初回先頭打者本塁打(4カード連続弾はプロ野球史上初)を放つなど、球団史を塗り替えるような記録づくめのシーズンを送った。

 3番、5番に座ることが多かった序盤戦は調子にも波が見られたが、1番に固定されて以降は常に好調をキープした。打席数が増える1番で急激に打率を伸ばすのは、そう簡単なことではない。盗塁、四球の数ではリーグ3連覇中の田中広輔に及ばないが、新しい形でのリードオフマン像を築いてみせた。『打線は水物』とはよく言われるが、西川のバットに関してはシーズンの大半でこの言葉は不要だった。