広島アスリートマガジンWEBでは、これまでカープやサンフレッチェをはじめ、広島のスポーツの魅力を伝えてきた。ここでは、2022年に特に反響の多かった記事を振り返る。

 2021年育成ドラフト4位で入団した坂田怜は、日本球界でも極めて珍しい “ナックルボーラー” としての活躍を目指し、日々腕を振り続けている。病を乗り越えプロ入りの切符をつかんだ、坂田の今に迫った。

大学時代には心臓病の手術を乗り越え復帰を果たした坂田。支配下登録を目指し奮闘を続ける

◆小さな自信が芽生えたシーズン

相手打者はもちろん、味方の捕手をも幻惑すると言われるナックルボール。魔球習得への期待をかけ、カープは坂田怜を育成で指名した。

 アマチュア時代は無名の選手だっただけに、坂田の指名は大きな話題を呼んだ。あのドラフトから約1年、坂田は育成選手ながら二軍で9試合に登板。四死球の数が目立つなど残した結果は思わしくなかったが、プロ1年目は坂田にとって貴重な時間となった。

「大学時代はそこまで登板機会がなかったのですが、プロの世界に入り登板機会をいただき、その中で良いものも悪いものも見えたシーズンでした。ナックルをストライクゾーンに投げることができれば、打ち取れる自信はあります。それを毎試合できるようにしていかないといけないと思っています」

 ナックルを自在に操ることができればプロでも勝負できるという手応えをつかんだことは大きな進歩だが、一方で解決しないといけない課題もはっきりと見えた。制球力だ。

「良いときは腕がしっかり振れています。投球フォームを崩すことなく毎回同じ形で投げることができれば、良いところに投げられると思うので、それを実践できるように日々の練習に取り組んでいます」

 ナックルは特殊な球種ゆえに、日本で成功を収めた投手は少ない。そのため球団は今秋のフェニックス・リーグに、2007年にカープに在籍し、ナックルを武器に活躍したフェルナンデス氏を臨時投手コーチとして招くなど、坂田のバックアップを決めた。

「しっかりとした投球フォームを確立したいです。それを見つけるのが難しいのも分かっていますが、少しでも良い形を見つけて、来季につなげていきたいと思っています」

 動画やSNSを駆使して、時間があればナックルの研究に没頭するなど、魔球の進化に余念がない。鍛錬の秋を経て坂田がどんな成長を見せるか、楽しみに待ちたい。

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