新井監督1年目となる今季、新監督の誕生と共にカープファンを驚かせたのが、黒田博樹氏球団アドバイザー就任のニュースだ。2016年限りでユニホームを脱いだ黒田氏は、ドジャース、ヤンキースとメジャーリーグの第一線で活躍し、日米通算200勝を達成したレジェンド投手でもある。

 カープからメジャーへと羽ばたいた選手はこれまでに4人。ここでは、海を渡り活躍した選手たちの過去インタビューを再編集して紹介する。今回は、2015年終盤戦で抜群の勝負強さを見せつけ、エースとして活躍した前田健太(現・ツインズ)のインタビューをお届けする。

(掲載は2015年12月号)

通算5度の開幕投手も務めるなど、エースとしてカープ投手陣をけん引し続けた前田健太。

地元広島で、無類の勝負強さを発揮

— 2015年は、ヤンキースから黒田博樹投手が復帰したことも追い風となり、開幕前から継続して近年にない盛り上がりでした。この現象をどのように思われていましたか?

「うれしかったですね。キャンプからでしたが、黒田(博樹)さんの効果もあっていつもと違って報道陣も多かったですよね(笑)。球場にたくさんの方がきてくれるということは選手にとって良いモチベーションとなります。特にシーズン中はほぼ満員になっていましたし、ビジターでもたくさんのカープファンのみなさんが駆けつけてくれて、本当に心強かったですね」

— それが逆にプレッシャーと感じることはありましたか?

「プレッシャーはありませんでしたね。〝たくさんのファンがいるから勝たなきゃ〟という思いはありましたが、本当に力になりました。逆にスタンドがガラガラだと力も入りませんし、モチベーションも下がってしまっていたと思います」

— マツダスタジアムでは15試合に投げて9勝1敗、防御率1・38と無類の強さを発揮されました。

「なぜ、そういう良い結果になったのか僕も不思議です。ホームだと自分の時間で動けたりしますし、それも要因かもしれません。他の球場より特別投げやすい、投げにくいというものはありませんが、〝たくさんの声援をもらうホームで負けられない〟という気持ちが力になっていたのかもしれませんね」

— マツダスタジアムでのヒーローインタビューでは、Tシャツパフォーマンスが話題となりました。

「マイクで言うこともなくなって、ネタも底を尽きてきたので(笑)。ホームなので、何かしたいなと思っていて、特技を生かしてやることにしました(笑)。『Tシャツください』というボードを掲げてくれるファンの方もいたので、やって良かったと思います」

— 2015年は、黒田投手とともにシーズンを戦った訳ですが、黒田投手と過ごしたシーズンはどんな期間でしたか?

「僕が1年目の2007年は一軍で一緒にやることができなかったので、一軍で一緒にプレーできて光栄でした。黒田さんの野球に対する姿勢であったり、準備などいろいろ学ぶことがありました。僕もこれまで先発陣ではなかなか年上の先輩がいなかったので、経験がある方がいると心強さも違いました。またアメリカで長くプレーされていた方なので、日本とは違う感覚も持たれていて、そういうお話も聞くことができました。僕だけではなく、他の投手にも良い刺激、緊張感をもたらせてくれる大きな存在でした」

— 開幕して以降、前年の2009年と比べて自身の投球スタイルに変化を加えたことはありますか?

「投球スタイルにあまり変わりはありませんでした。開幕前から投げ始めていた縦のスライダーはあまりうまくいかず、途中から投げなくなりましたし、フォークの練習をして投げてみたりしましたが、基本的には変わりありませんでした」

— 開幕前から「今季はストレートに磨きをかけたい」と話されていました。1年間通じて、ストレートに関してはどんな手応えを感じられていましたか?

「やはり良いときもあれば、悪いときもあるので、納得する球にはなっていません。自分で思っていたよりもストレートで押せないときもあったので、これからも課題になってきますし、まだまだ納得するスピードも出ていないので、追求していかなければいけないと思いましたね」

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