6月下旬から7月上旬にかけて3点以下の試合が続くなど、深刻な打撃不振が続いた。

 交流戦を5年ぶり四度目の単独最下位で終えると、その後も負の連鎖は加速した。リーグ戦再開後も打撃不振に泣かされ、20年ぶりとなる11連敗を記録。5位にまで順位を落とし、セ・リーグの貯金を独占する首位・巨人とは12ゲーム差をつけられてしまった。

 そして自力優勝の芽を残すには3タテしか許されない危機的な状況で、7月19日から試練の巨人3連戦を迎えた。しかし、4回までに先発の大瀬良が5失点を喫するなど、大事なカード初戦から厳しい戦いを余儀なくされた。小刻みに加点していく粘りを見せるも、8回にはダメ押しともいえる坂本勇のソロ本塁打を浴び4対6と引き離される。交流戦以降のキーワードが打撃不振だけに、ここからの逆転は至難の業と思われた。ところが直後の8回裏に松山が適時打を放ち1点差に迫ると、選手会長の會澤が逆転2ランを放ち一気に逆転。マツダスタジアムでの連敗を6で止めると共に、土壇場で自力優勝消滅の危機を救ってみせた。

 熊本の夜を彷彿させる大逆転勝ちは、再び影を潜めていたカープ打線を目覚めさせた。続く第2戦をバティスタの連続弾でものにし、久々の連勝とカード勝ち越しを決めると3戦目も4番・鈴木のサヨナラ打で激勝。5月30日以来となるカード3連勝を飾り、データ上は0%となっていたリーグ優勝へ望みをつないだ。

 完全に息を吹き返したカープは、4月を上回る勢いで連勝を9にまで伸ばした。後にジェットコースターと称されたように、瀬戸際まで追い詰められた巨人戦からカープが今季二度目のV字回復に突入した。