3月に開幕を迎えるWBCに向け各国がナショナルチームを結成するなか、2019年以来となる中国代表が結成され、元福岡ソフトバンクホークスで、現在は日立製作所に籍を置く真砂勇介が代表入りするなど話題を呼んでいる。

第92回都市対抗野球大会で力投を見せた林明良投手

 そんな中国代表がWBCを前に来日。実戦調整の初戦の相手に選んだのは、栃木県に本拠地を置き、社会人野球で日本一を狙うエイジェック硬式野球部だ。

 昨年まで若いチームという印象が強かったエイジェックだが、今季から栃木ゴールデンブレーブスから移籍した高野圭佑や、東北楽天ゴールデンイーグルスから加入した内田靖人らが加わり選手層の厚みがさらに増した。

 投手陣の中でも注目は左腕の林明良。都市対抗野球大会に進出した2020年に大車輪の活躍を見せた左腕は、3年目となる今季に懸ける気持ちが大きい。持ち味の多彩な変化球を駆使し、中国代表相手にどのような投球を見せてくれるのか注目したい。また中国代表との対戦に、エイジェック難波貴司監督は「相手は来日初戦。ナショナルチームで厳しい戦いが予想されるが、勝ちにこだわる」と意気込んでいる。

 一方、中国代表で注目したいのは『ミギータ』こと真砂勇介。2022年まで福岡ソフトバンクホークスに在籍し、その豪快なスイングから主砲・柳田悠岐の愛称『ギータ』にちなんで『ミギータ』と親しまれていた。

 今シーズンからは社会人野球の名門・日立製作所に活躍の場を移し、父が中国出身という経緯もあり、今回の中国代表入りとなった。新たな門出に舞い込んだビッグニュースに、真砂は「こういう大きな舞台に立てる経験はなかなかない」と驚きを口にしながらも「この経験をこれからの野球生活に活かし、チームに還元できるようにしていきたい」と気合十分だ。

 そのほかにも、2017年メンバーでもあり140km後半の直球とチェンジアップのコンビネーションで打者を翻ろうする朱権(チュ・グォン)や、大谷翔平が所属するエンゼルスとマイナー契約を結んだばかりのアラン・チャン・カーターの二投手にも注目。特に警戒が必要なカーターは、190cmから投げ下ろす150km超の直球が武器だ。

 対戦は2月22日、鹿児島県日置市の湯之元球場で午後1時プレイボール予定。日本代表はWBC1次ラウンド初戦で中国代表と対戦する。まずはエイジェックがどんな戦いを見せてくれるか注目したい。

 また翌日からは、同市をはじめ鹿児島県内で大学・社会人・プロの垣根を超えた硬式野球の大会『薩摩おいどんカップ2023』が開催される。2023年は鹿児島から球春が告げられる。