V奪還を成し遂げる上で、田中広輔選手の復活は欠かせない。

 今季のカープを象徴する出来事として、リーグ3連覇の立役者となった選手の離脱が挙げられる。野手では丸佳浩のFA移籍は別としても、田中広輔が交流戦でフェードアウト。カープ打線の象徴でもあった『タナキクマル』は完全に崩れ去り、シーズンを通じて好不調の波が目立つ打線となってしまった。

 田中の不調は開幕直後からチームに暗い影を落とした。『28打席ぶりの安打』(4月10日)、『23打席ぶりの安打』(4月20日)がニュースになるなど不振を極め、打率は1割台後半を推移。規定打席到達者の中でリーグ最下位が定位置となっていた。

 センターラインを形成する守備の要の選手だけに辛抱強い起用が続いたが、6月20日には連続フルイニング出場の記録が『635』(歴代6位)でストップ。翌21日は代打での出場も見送られ、連続試合出場も636試合で途切れることになった。その後は小園海斗の台頭もあり、ベンチを温める日々が続いた。そして8月22日には、ついに出場選手登録を抹消された。直後には驚きの事実も発覚した。8月28日に球団から発表されたのは、右膝半月板の部分切除手術。プレーを続けようにも、すでに右膝の状態は限界を超えていたということだ。

 現在はリハビリも順調に進み、ダッシュも問題なく行えるまでに回復している。リーグ3連覇中の強さを取り戻すためには、田中の復調は必要不可欠なものとなる。このまま調整が順調に進み、来年の春に本来の輝きを取り戻すことを期待したい。