B1リーグに進出して3年目を迎えた広島ドラゴンフライズ。一度はドン底を味わい、そこから少しずつ上位リーグで通用するチームづくりを行なってきたミリングヘッドコーチ。彼が大切にする、チームづくりの哲学を語ってもらった。(取材は3月初旬)

広島ドラゴンフライズの カイル・ミリングヘッドコーチ(写真中央)

◆辛抱強く、負ける試合も含めチームを見続けることが必要

―コーチのキャリアの中での失敗談、そしてそこから得たものはありますか?

 「ヨーロッパでコーチをしていた1年目、2年目の開幕からの数試合は、勝ちに対する意識が強すぎて、負けてしまった時には世界の終わりかというくらいショックを受けていました。でも、コーチを続けてきて私自身が変わったのは、もっと辛抱強く、負ける試合も含めてチームを見続けることが必要だなと感じるようになったことです。技術的な面では、5年前は今とは全く違うバスケットボールをしていました。『私はこういうバスケットボールがしたいんだ、君たちはそれをしっかりと遂行しろ』というトップダウンのチームづくりをしていました。でも今はすごくオープン、選手やスタッフからのいろいろな意見を取り入れながらのチームづくりをしています。選手一人ひとり強みや弱みをしっかり見定めながら、戦術を構築することを学んできました」

―カイル・ミリング ヘッドコーチが考える、理想とするコーチ像とは?

 「自分の意思をしっかりと伝え、相手の思いをきちんと汲み取れるコミュニケーターですね。時代は常に流れているので、今教えていることが常に正しいということにはなりません。文化や個性をしっかり理解し、常に勉強し、一喜一憂せずに新しいことにチャレンジし続けていくことが、大切だと思います」

―最後に、2023年地区優勝、チャンピオンシップへの意気込み、ブースター(ファン)へのメッセージをお願いします。

 「ブースターのみなさんの声援が私たちの力になります。残り22試合の中でホームゲームもたくさん残っています。ぜひ会場に足を運んでいただき、応援をしていただきたいと思います。プレーオフやチャンピオンシップに行けば、チーム史上初となるので、引き続き応援をよろしくお願いいたします」

カイル・ミリング
1974年7月27日生、アメリカ出身。1998年からの2シーズンは日本(日立大阪ヘリオス)で選手としてプレー。2011年に選手を引退し、教員としてカリフォルニア州の高校でバスケットボールの指導を行う。2013年からはフランスリーグでアシスタントコーチを務め、2015年に横浜ビー・コルセアーズのヘッドコーチに就任。2021年からは広島ドラゴンフライズでヘッドコーチとして指揮を執っている。

広島アスリートマガジン4月号は、いよいよ始動した新井新監督が表紙を飾ります!広島ドラゴンフライズのカイル・ミリングヘッドコーチへも、指揮官の思考にも迫ります!広島のスポーツチームを率いる監督たちの哲学にもご注目ください!