開幕3連敗と苦しいスタートなったカープだったが、本拠地・マツダスタジアムでの6連戦は4勝1敗(中止1試合)と好調な戦いを見せ、4月中旬には単独首位に浮上した。

 ここではカープOBの大野豊氏が開幕直後のカープ投手陣・野手陣を、独自の『視点』で解説する。(取材は4月4日)

開幕3戦目に先発登板した玉村昇悟。4月9日の巨人戦では今季初白星を手にした。

期待に応えた先発陣。リリーフでは戸根が好投

 開幕戦では連敗を喫してしまった新井カープですが、本拠地・マツダスタジアムに戻ってからは好調な試合が続いています。今回は、開幕からここまでのカープを振り返りながら、投打に分けてお話をしていきたいと思います。

 まずはシーズン開幕戦です。大瀬良大地、床田寛樹の2投手は予想通り先発ローテーション入りを決めました。そこに、3番手として入ってきたのが玉村昇悟です。この3人に関しては、先発としての役割を果たしてくれたと思います。大瀬良も開幕戦では敗戦投手となってしまいましたが、先発投手陣に限って言えば、ある程度試合をつくることができていたと感じました。2戦目に先発した床田も、非常に粘り強く投げて6回を無失点に抑えてくれています。大瀬良も失点はすべてホームランですから、そこは反省材料として、今後改善をしていくべき部分になるのではないかと思います。

 一方で課題だと感じたのはリリーフ陣です。特に開幕3戦目では、すべての試合でリリーフ陣が失点しており、そのうち4月1日(●1ー0)と2日(●3ー2)は、リリーフ陣の失点で2敗してしまいました。打線との兼ね合いがあるにしても、拮抗した試合ではリリーフ陣が失点しないような投球をすることも重要です。そうした課題が現れてしまった開幕3連戦であったと感じました。

 とはいえ投手陣を全体的に見ると、打ち込まれて負けたというイメージではありません。実際に、先発陣が失点をしてもリリーフ陣が踏ん張って勝てた試合も出てきています。ここからさらに調子を上げていってくれることを期待したいと思います。

 巨人から現役ドラフトで加入した戸根千明の投げっぷりの良さにも注目したいと思います。特に左打者に対して絶対的な自信を持っている投手ですから、実際に戦力として求められる役割を果たしてくれていると感じています。また、ターリーも昨シーズンに比べると好調で、去年のような不安材料は減ってきています。ストライク先行のピッチングが多く、無駄な四球は去年ほどはありませんから、安心感はありますね。力のある投手ですから、今シーズンは期待ができるのではないでしょうか。

 勝ちパターンはもちろんのこと、負けている試合であってもしっかりと抑えることができる投手を育てていかなければならないわけですから、投手陣には、周りに安心感を与え、監督に信頼してもらえる投球を期待していきたいです。

広島アスリートマガジン5月号は、「まだ見たい!もっと見たい!」勝利を知る経験者たちの魅力をお届け!カープ3連覇を支えた投打の主力たちの現在地に迫ります。