プロ野球・広島東洋カープ、サッカーJ1・サンフレッチェ広島、プロバスケットボールB1・広島ドラゴンフライズなど、トップレベルのスポーツチームが多数活動している広島県。ここでは広島県知事・湯﨑英彦氏、スポーツアクティベーションひろしま(以下、SAH)・神田康範代表、スノーボードアルペン・竹内智香選手(広島ガス)による、広島スポーツ座談会をお送りする。広島で長年スポーツ実況を務める坂上俊次氏(RCC中国放送アナウンサー)による司会の元、さまざまな立場から熱い意見交換が行われた。

◆行動力から生まれた広島との縁

坂上「本日は広島県知事の湯﨑英彦さん、SAHの神田康範代表、そしてスノーボードアルペン選手として世界の舞台で活躍されている竹内智香選手にもお越しいただきました。竹内選手のご出身は北海道ですが、実は広島とも非常に縁の深い方でもあります。まずは『広島におかえりなさい』というお声掛けで良いですか?」

竹内「そうですね、『おかえりなさい』に慣れているかもしれません(笑)

坂上「世界中、さまざまな場所や国に行かれていると思いますが、広島は『帰ってきたな』という感覚なのでしょうか」

竹内「北海道で生まれ育って、最初は広島には縁もゆかりもなかったんですが、親戚を通じて最初は観光客として足を運んで、すっかり広島県のファンになりました」

坂上「そうだったんですか?」

竹内「はい。そこからどんどん広島が大好きになって、湯﨑知事に『広島の観光大使をやりたいです!』とお願いして」

坂上「その行動力がすごいですね。観光客だった人が観光大使になるというのは、湯﨑知事としてはどのように受け止めておられましたか?」

湯﨑「竹内選手のお人柄によるところが非常に大きいと思います。まずは遠慮なくアプローチしてくださったところから始まりました(笑)」

一同「(笑)」

湯﨑「観光大使をお願いさせていただいてから、広島に対しても非常に貢献をしていただきました。最初は、2010年の『ワールドスノーボードフェスティバル』を企画してもらいましたね」

竹内「はい、そうですね」

湯﨑「広島県北の北広島町で開催されたスノーボードの大会でしたが、竹内選手の声掛けで、世界トップクラスの選手たちが集まってくださったんです。竹内選手の周りを巻き込む力であったり、誠実さであったり、そういったものが自然と『応援したい』という気持ちにさせてくれるのではないかと感じています」

坂上「プロアスリートがスポーツと観光、地域の力をつないでいくという形は、まさに神田代表がSAH(スポーツアクティベーションひろしま)で目指していきたいところなのではないでしょうか」

神田「まさにその通りですね。SAHでは、それぞれの地域における目指す姿の実現に向けて、スポーツを活用して地域を元気にする取り組みとして『わがまちスポーツ』を掲げています。これは、スポーツを活用したまちづくりの推進や、大会・イベント誘致による地域経済の活性化、地域の皆さんに自分が住んでいる場所に愛着を持ってもらうことなどを目指す取り組みなのですが、まさに、竹内選手が企画されたスノーボードフェスティバルを始めとする取り組みは、『わがまちスポーツ』の趣旨に非常に近いものを感じました」

坂上「地域や、地元の企業との結び付きという点でも、竹内選手の取り組みには非常に参考になる部分があるのではないかと感じます。竹内選手が故障をされた時も、スポンサー企業である広島ガスさんは、変わらず支援をされていましたよね」

竹内「本当にありがたいですし、そうした方たちに恵まれているなと感じています。ケガをした時もそうですし、2018年の平昌冬季五輪が終わってから2年半ほど休養をした時も、変わらず応援をしていただけました。『いつでも戻ってくることのできる場所』をつくっていただけたというのは、周りを見てもあまりないケースだったと思います。感謝してもしきれません」