昨シーズンはリーグ全34試合に出場し、うち32試合でスタメン起用。ほぼすべての試合で90分間フル出場を果たした左CBは、今季も広島の『鉄壁DFライン』をタフに支えている。今シーズン、広島9年目を迎える佐々木が見つめてきた、サンフレッチェの変化と進化。

 ファン・サポーターの期待と注目高まるなか、新たなタイトル獲得を誓うキャプテンの言葉をお届けする。

(取材は3月30日に実施)

鉄壁の3バックの一角として、そしてキャプテンとしてもチームをけん引する佐々木翔

◆昨シーズンのサッカーに引き続き磨きをかけるために取り組んでいる

ー横浜FC戦(3月8日、○3ー1)では今シーズン初得点を決めました。この試合はチームにとってもシーズン初勝利となりました。

「ありがとうございます。あの試合は、前半から攻めていたなかでもなかなか得点につながっていないように感じていました。後半の早いタイミングで失点してしまいましたが、そこからチームが崩れることなく、うまく逆転に向かってギアを上げることができたのではないかと感じています。僕は先制されてから投入されましたが、そこまでも良い試合はしていると感じていました。このまま焦れずに無失点のままゴールを狙いにいければ良いと思っていたのですが、先に失点してしまったところで、チームとしても厳しい展開になってしまったのではないかと思います」

ーご自身のゴールシーンを振り返っていかがでしょうか。

「あのゴールはマコ(満田誠)のCKからだったのですが、マコも狙い通りの場所に蹴り込んでくれたと思いますし、チームとしてデザインしているものが形になったゴールだったので、うまく合わせることができたのは良かったと思っています。相手選手のマークもありましたが、競り勝てるチャンスはあると感じていました。相手の力をうまく外しながら、自分の力でゴールまで持って行けたので良かったです」

ー昨シーズンは、ルヴァン杯優勝、天皇杯準優勝、リーグ3位という結果を収めました。今シーズン、チームがもっとも変化していると感じる部分はどこでしょうか。

「昨シーズンからの大きな変化は、あまりないのではないかと思っています。大切なのは、自分たちの持っているサッカーに磨きをかけていくことだと思うので、大きく変化させるというよりも、昨シーズンのサッカーに引き続き磨きをかけるために取り組んでいるところが、今の自分たちの一番の強みなのではないかと感じています。まず、根本的に監督が思い切って戦術を変えるかというと、そういうことはあまりないと思います。ベースは同じで、磨きをかけていく。戦術をより浸透させていく。チーム全員が同じような『絵』を持ちながらプレーすることを大切にしています。あとは、見てくださっている方たちに面白いと思ってもらえる、楽しんでいただけるというところも大切にしている部分です。それが僕たちのサッカーのスタイルだと思っているので、スキッベ監督も、『魅力的なサッカーを目指す』と言っているのではないかと感じます」

ーそうした『魅力的なサッカー』がファン・サポーターを引きつけ、観客動員数も、コロナ禍以前に戻ってきているように感じます。

「みなさんの関心や、期待の大きさはとても感じますね。もしかしたらコロナ禍前よりも、スタジアムに足を運んでくださる方の数が増えているのではないかと思うくらいです。たくさんの方に注目していただいていることを肌で感じています。その理由はやはり、昨シーズン、チームが結果を残したことにあると思っていますし、その上で、今年に大きな期待をかけてもらっていることも感じています。うれしさもあり、同時に責任も感じますね。常に『スタジアムに見にきてくださった方たちを、なんとか笑顔で返したい。楽しんで帰ってもらいたい』という気持ちでプレーしています。あとは、声出し応援が復活したことも大きいですね。コロナ禍になるまでは、『声出し応援がない』という試合を経験したことがなかったですから、ファン・サポーターのみなさんの声援がないというのはすごく寂しく感じました。『声援がないスタジアムって、こんなに静かなんだ』と驚きましたし、その期間も長く続きましたから、自分たちの応援歌を歌ってもらえるありがたみを以前よりも感じるようになりました。改めて、声援や応援歌を聞くとさらに気持ちが入るというか、パワーをもらえます。頑張りたい、頑張らなきゃいけないという気持ちにさせてもらえますね」

《プロフィール》
佐々木 翔1989年10月2日生、33歳/神奈川県出身
高い守備能力を持つ左CB。2022年シーズンは34試合ほぼ全試合で先発し、フル出場を果たしたタフな選手でもある。2016年に右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負うが、2018年戦列復帰。2020年からは広島のキャプテンを任される。2023年シーズンは、青山敏弘の20年、柏好文・林卓人・柴﨑晃誠の10年に継ぐ在籍歴(9年目)となる。