サンフレッチェ広島ユースからトップ昇格をつかみ取り、プロ3年目の2019年には29試合に出場。2021年には東京五輪日本代表にも名を連ねた若き守護神は、2022年、クラブ悲願のカップ戦タイトル獲得を支えた正GKへと進化を遂げた。

 ユース時代の同期とともに、広島の未来を担う大迫敬介が語る“守りのプロフェッショナル”としての意識の変化とは。(取材は4月27日、本文中のデータは一部編集当時のもの)

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広島のゴールを守る『守護神』の座をつかんだ大迫。代表への招集経験も豊富で、日本の守護神を目指し日々技術を磨いている。

失点しても崩れずにいられるのは、味方への揺るがない信頼があればこそ

ーGKは、当然のように無失点が求められる厳しいポジションでもあります。守りの要、守備のプロフェッショナルとして意識していることはありますか。

「そうですね。やはりサッカーなので、先に点をとって有利な状況で試合を進めることができるケースもあれば、先に失点してしまうケースもあります。一番難しいのは、先制点を取られてしまった後、相手に2点目を与えないためにどうやって切り替えていくかというところです。

 ただ、昨シーズンもチームは試合の後半や終盤で逆転することが多かったですし、先制点を取られた後であっても、『味方の選手が追いついて、ひっくり返してくれる』という信頼感を、全員が持っていました。そうした信頼感があるからこそ、失点をしても崩れずにいられるというか、気持ちの切り替えができるようになっていると思います。

 そうした考え方ができるようになった背景には、監督やコーチが変わったことや、チームが結果を出せていて、気持ちよくプレーできているということもあったと思います。個人としては、GKコーチにアドバイスをしてもらって、少し意識を変えたことが大きかったですね。その意識の変化が、僕自身のプレーを大きく変えてくれたという感覚があります。

 今までであれば、攻め込まれている時には『失点したらどうしよう』『このまま0ー0だったら、ちょっとまずいな』と思っていたような場面でも、今はすごく余裕を持てるようになってきました。シチュエーションに対しての捉え方が、これまでとは変わってきたと感じています。相手に攻められても全然焦ることがなくなったというか。どこから打ってこられても大丈夫という風に、余裕がでてきたという実感があります」

ー大迫選手は世代別も含め、サッカー日本代表にも複数回選出されています。代表の舞台というのは、大迫選手にとってどのような場所なのでしょうか。

「代表はずっと目指している場所でもあるので、呼んでいただけることは光栄なことだと思っています。

 ただ、そこに選ばれて入るだけではなく、中心的な選手になっていかなければならないとも思っています。W杯カタール大会も終わり、次の大会に向けて若い選手も代表メンバーに入ってきています。そのなかで自分が結果を残すことができれば、代表の中心選手に近づいていけると思っていますし、『日本のGKといえば大迫敬介だ』とみなさんに感じてもらえるような存在感を残していきたいと思っています」

ーシーズンはこれから夏場を迎え、厳しい戦いが続くことが予想されます。最後に、ファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。

「今年はエディオンスタジアムのラストイヤーということもありますし、昨シーズンはタイトルを獲ることもできました。応援に足を運んでくださる方も増えていると実感していますし、声出し応援も復活してここからますます盛り上がっていくと思っています。

 僕たちも魅力のあるサッカーができるように頑張るので、一緒に楽しんでもらえたらと思います。応援よろしくお願いします」

《プロフィール》
大迫敬介 おおさこ けいすけ
1999年7月28日生、鹿児島県出身
サンフレッチェ広島ユース出身。2017年にトップ昇格を果たすと2019年に公式戦デビューを飾り、自己最多となる29試合に出場。林卓人らとポジション争いを繰り広げながらも2022年は再び正GKの座をつかみとり、クラブ初のカップ戦タイトル獲得に大きく貢献した。FW・満田誠、MF・川村拓夢はユース時代の同期。