リーグ戦、カップ戦、天皇杯とも悔しい試合が続いたサンフレッチェ広島。なかなか浮上のきっかけをつかみ切れないなか、7月にはC大阪から加藤陸次樹が電撃加入するなど、リーグ再開に向けチームは着々と動き始めている。

 ここではOB・吉田安孝氏が、6月のサンフレッチェを振り返る。苦しむチームに、今、必要なものとは。(記事中のデータはすべて7月6日の取材時点)

強靭なフィジカルとスピードを活かし、広島の鉄板3バックの一角を担う住吉ジェラニレショーン。

大胆なプレーと細心のケアで、広島らしさを取り戻してほしい

 横浜FM戦では、【4ー1ー4ー1】というフォーメーションで試合に挑みました。

 今シーズンの先発フォーメーションは【3ー4ー2ー1】をメインとしていましたが、この試合では、エウベル、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウスといった相手の強烈な3トップを押さえ込むためにも、最終ラインを4枚に増やして対応しようとしたのでしょう。山﨑大地がワンボランチで出場して、フィジカルの強さをしっかり見せつけることができたのは収穫だったと感じます。なかでも試合前半で見せた、ボールカットからシュートまで持ち込んだシーンは、ここから先の活躍を予感させてくれる素晴らしいプレーでした。

 一方で、7月1日の新潟戦(● 2ー0)は、ほとんど広島の良さを出すことができない一戦になってしまいました。あの試合では、新潟のプレーから学ぶものが非常に多くあったと思います。

 新潟は、ボールを出す、パスを受けるという2選手だけでなく、3人目の選手をうまく使ったダイナミックな動きで得点に持ち込んでいました。この「3人目の選手の存在が非常に大きなものになる」という話は、以前にも解説した通りです。前方で相手選手が何人も待ち構えているよりも、後方からボールを追い越すように来られる方が、守る側としての対応は難しくなるのです。今のサンフレッチェに足りないのは、そうしたダイナミックに仕掛けていく攻撃ではないかと感じています。

 2022年シーズン、好調だった時のサンフレッチェの攻撃は、後方からどんどんボールを追い越して、2人、3人と選手がボールに絡んでいっていました。

 ラインを常に高く保ちながら、大胆に攻めながらも、同時に相手のカウンターにも細心の注意を払っておく。

 大胆さと繊細さという両極端の要素を同時に持ち合わせることが、うまくいく秘訣なのではないでしょうか。

広島アスリートマガジン8月号は、「追悼特別特集 北別府 学 ありがとう 20世紀最後の200勝投手」カープが誇る大エース北別府学氏が残した偉業の数々を振り返ります。またサンフレッチェからは、存在感を増す広島3年目のDF住吉ジェラニレショーン選手が独占インタビューに登場してくれました!