2020年カープ打線の浮沈はこの男に掛かっているといっても過言ではない。

 6月26日に一軍昇格を果たすと、スタメン出場を果たした試合ではすべて安打を記録。6月19日のプロ野球開幕に名を連ねることができなかった出遅れを取り戻すかのごとく、チーム屈指の勝負強い打撃が持ち味の松山竜平は、昨季の悔しさを晴らすべく燃えている。

チームでも指折りの打力を持つ松山竜平。得点力向上のためには、この男の復活が欠かせない。

 初の規定打席に到達した2018年から急転直下、2019年は松山竜平にとって試練の年となった。

「プロ生活の中で、一番悔しいシーズンでした。チーム、そして個人の成績どちらも満足できるものではありませんでしたね」

 2018年オフには取得したFA権を行使せず、カープへの残留を表明。チームの顔として期待された2019年シーズンだったが、開幕からの打撃不振に加え、頭部死球に襲われるアクシデントも重なり持ち前の打力は鳴りを潜めていた。

「オープン戦では若い選手が中心に起用される中で、調整の難しさを感じるシーズンでした。正直4月の時点で調子自体は上がってはいたんです。これは言い訳になるかもしれませんが、やっぱり頭部死球の影響は少なからずあったのだと思います」
 
 終盤は4番としても起用されるなど、夏場以降徐々に調子を上げていたものの、打率.259、6本塁打、49打点という成績はいずれもスラッガーとして期待される男が満足するには程遠い数字だった。