チームトップクラスの対人守備と、恵まれた身体能力。時に相手に立ち塞がる壁となり、時にそのスピードで相手を翻弄する。広島加入3シーズン目を迎えたDF・住吉ジェラニレショーンに、今シーズンの軌跡を振り返ってもらった。

今シーズンは、3バックの一角としてスタメン出場の機会をつかんだ住吉ジェラニレショーン

◆大学時代まではFWでプレー。DF転向で高いポテンシャルを発揮

ー住吉選手とサッカーの出会いを教えてください。

「あまり覚えていないのですが、小さい頃からボールを蹴っていたみたいです。僕の母はカープファンで、横浜で広島お好み焼きの店を営んでいます。母は僕に野球をやらせたかったみたいですが、体験教室に行ってもあまり面白いとは思えなくて……。逆にサッカーの体験教室に行ったらそちらの方が楽しくて、本格的に始めました。周りを見ていても、ボールを蹴っている方が楽しそうに見えたんですよね。小学校から大学1年までは、ずっとFWでプレーをしていました」

ー現在のポジションはDFですが、FWから転向されたきっかけは?

「大学生の時に、DFの選手にケガ人がたくさん出たことが最初のきっかけでした。僕は1、2年生の頃から大学サッカー部のトップチームでプレーさせてもらっていたのですが、FWのポジションでは練習の紅白戦にもなかなか出場できていませんでした。そこで、欠員の出ているCBをやってみないかと声をかけてもらってプレーしてみたら、思った以上にフィットしていたので、そのままDFにコンバートしたという形ですね」

ー大学卒業後は水戸に加入され、2021年途中から広島に移籍されました。移籍を決断された背景を聞かせてください。

「一番の理由は、自分自身がステップアップしたいという気持ちがあったからです。広島という土地とは縁を感じていたこともあって、クラブから話をもらった時には、あまり迷うことなく決断しました。それまでは広島に来たことがなかったのですが、サンフレッチェ加入が決まった時は、僕自身もうれしかったですね」

ー今年の7月で広島での生活も3年目になりますが、実際に住んでみた感想はいかがですか?

「自然が好きで、小さい頃からよく海にも行っていたので、広島は海もあるし良いところだなと思っています。自然もあって、街も栄えていて、良い意味でちょうど良い街だと思います」

ー同じくDFの塩谷司選手とは、国士舘大から水戸に加入し、水戸から広島に移籍、という経歴がよく似ています。

「水戸にいた期間も1年半と同じですし、今も目標にしている先輩ですね。塩谷選手に追いつきたい、追い越したいという思いが原動力となって、苦しい時期も頑張ろうという気持ちになれました」

ー塩谷選手から、プレーやメンタルの面でアドバイスなどはあるのでしょうか。

「そうですね。プライベートでも良くしてもらっていますし、試合前日や試合後にも、『もっとこうした方が良いよ』などサッカーに関する話をしてもらうことがあります。食事に連れて行ってもらうこともありますし、塩谷選手も僕も釣りが趣味なので、一緒に釣りに行くこともあります」

住吉ジェラニレショーン
1997年10月5日生 25歳/アメリカ合衆国出身
サンフレッチェでも随一の高い身体能力を持つDF。対人守備の強度はチームでもトップクラスで、スピードも武器の一つ。サッカーを始めた当初はFWとしてプレーしていたが、国士舘大時代にDFにコンバートされ才能が開花した。MF・柴﨑晃誠、DF・塩谷司、MF・柏好文は国士舘大の先輩にあたる。大学卒業後の2020年、水戸に加入。2021年7月に広島に完全移籍。

広島アスリートマガジン8月号は、「追悼特別特集 北別府 学 ありがとう 20世紀最後の200勝投手」カープが誇る大エース北別府学氏が残した偉業の数々を振り返りながら、強いカープを共につくりあげた仲間たちが語るその姿をお届けします。