昨日の試合で2本の本塁打を放ち、存在感を示した堂林翔太。シーズン終盤へ向け、首位を追走するためのキーマンになることは間違いないだろう。今季からカープの指揮をとる新井貴浩監督が現役時代、護摩行を共にするなど師弟関係にあった、今シーズンプロ14年目迎えた堂林翔太。多くの時間を共にした愛弟子が語る、新井監督の素顔。昨シーズン終了後の独占インタビューをお送しよう(過去の掲載記事を再編集)。
◆新井さんがベンチにいるだけで、チームの雰囲気が盛り上がっていく
─堂林選手が感じる、新井貴浩監督の“人間性”についてを教えてください。
「監督就任会見と、新ユニホーム発表会見の、あのままだと思いますね(笑)。冗談を言われる時もありますし、真剣に厳しい言葉をおっしゃることもあります。まだ監督として、直接グラウンドでは話をしていないのですが、素直にぶつかってきてくださる方なので、監督としてもそういう色を出されるのではないかと思います」
─選手時代、新井監督がベンチにいると雰囲気は違うものがあったのでしょうか?
「得点が入った時の姿は、なかなかマネできないですね。あれだけすごい実績を残された選手がベンチの前に出て、喜びを表現されるのは本当にすごいことだと思います。新井監督が現役時代にそういう姿を表現することで、チームが盛り上がっていく部分は確実にありました」
─新井監督とはグラウンドの外でも接する機会は多かったのですか?
「当時はコロナ禍になる前だったので、新井監督から食事にもよく誘っていただきましたし、そこで野球の話もされていました。今はこのような状況なので、なかなか食事に行ったり、話をしたりするのは難しいのですが、当時はそういう貴重な機会を設けてくださっていました」
─新井監督はチームメートからもファンからも愛されていたと思うのですが、その理由はどこにあると思われますか?
「“泥臭さ”だと思います。現役を引退される寸前まで、先頭に立ってユニホームを真っ黒にして、泥臭くやられた方なので、チームメートも、ファンの方もそういう姿を見て、この人についていきたい、応援したいと感じたと思いますし、まさに“全力プレー”にみなさん魅力を感じられていたと思います」
─堂林選手にとって新井監督とはどのような存在ですか?
「変わるきっかけをつくってくださった方ですし、間違いなく僕にとっての恩師です」
─ここからは今季のお話をお伺いします。数字的には昨年の成績を大きく上回り、代打での活躍もありましたが総合的に見てどのようなシーズンでしたか?
「良い時は良い、悪い時は悪いという時期が、はっきりしていたシーズンだったと思っています。また、周りの方もそういう風に思っていたんじゃないかなと思います」
─今季は代打での出場も多く、“代打逆転満塁ホームラン”など印象的な場面もありました。代打出場時、試合への臨み方において、どのような事を意識されていたのでしょうか?
「代打というのは難しいポジションです。ですので、少し言い方は悪いですが、“打てなくても良い”という開き直りで僕自身打席に入ることができ、打席の中で素直に表現できたことが、良い結果につながったのかなと思います。スタメンになると、相手の配球など、余計なことを考えてしまうことが多々ありました。代打と同じようにできていたらもっとスタメンでも良い結果を残せたかもしれないと感じました」
─今季の収穫を上げるならば、どのような点になるでしょうか。
「初球から仕掛けている時は、結果もついてきていたのは良い点だったと思います。そのスタイルを1年間続けるというのは難しいものがあるのですが、良い時と悪い時の波を少しでも減らしていければ、コンスタントに結果も出せると思いますし、それを踏まえて来季に活かしていきたいです」
─来季は、新井新監督のもとで、また変わった関係性でのシーズンを迎えることになると思います。まず、秋季キャンプはどんな気持ちで臨みたいですか?
「参加するメンバーの中で僕が最年長になるので、若い子たちに負けないくらいの動きができるように、そういった強い気持ちを守った上で来季に向けてしっかり体と技術を鍛えていけたらと思います」
─来季は楽しみの方が大きいですか?
「楽しみですし、新井監督となりますし……良い意味で、変な感じがしますね(笑)」
─それでは最後に、新井新監督となる、来シーズンに向けて、改めて目標を聞かせてください。
「大きなことは言えないのですが、とにかく1年間戦力として戦えるように、そして新井監督を胴上げできるように、しっかりシーズンを通して働きたいと思います」
■堂林翔太 どうばやし・しょうた
1991年8月17日生、愛知県出身
2009年ドラフト2位で広島に入団。プロ8年目となる2016年オフに当時現役の新井貴浩監督に弟子入り。2017年1月には、新井監督と共に、初めての“護摩行”を経験した。「護摩行は完全に個人との向き合い」と語るように、現在も6年連続で自らを鍛えている。2021年シーズンは、開幕スタメンに名を連ねるも、打撃の状態が上がらず70試合の出場にとどまった。2022年は101試合、62安打、8本塁打、28打点、打率.243をマークし、代打としても存在感を示した。