中学硬式野球5団体(フレッシュリーグ、ヤングリーグ、ボーイズリーグ、ポニーリーグ、リトルシニア)の垣根を超え、各団体の選手権を制した5チームが集い、統一ルールの下でこの年の頂点を競う大会『1st エイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」。同大会は8月28日に開幕(大阪シティ信用金庫スタジアム)し、翌8月29日に、高校野球の聖地である阪神甲子園球場で決勝が開催された。決勝はポニーリーグ代表のポニー佐賀ビクトリー、フレッシュリーグ代表の佐賀フィールドナインの同県対決。両チームの球児は好ゲームを繰り広げ、ポニー佐賀ビクトリーが初代王者に輝いた。
中学硬式野球史上、初の試みとなるこの大会へは、立ち上げ時からさまざまな意見が飛び交い、調整に約1年の時間を要した。ここでは、同大会を主催した株式会社エイジェックスポーツマネジメントの大会実行委員を務めた方に、この大会にかける思いや、これからの中学硬式野球の未来について聞いた。
◆野球を通じて何ができるのか
「弊社では、野球だけでなくスポーツに関わる様々な事業を通じて、マネジメントや地域貢献を積極的に行っています。野球人口がさらに減少されると予想される近い未来、中学硬式野球界も決して例外ではありません。中学硬式野球リーグ5団体のパートナーシップをさせていただいている弊社に何ができるかを考えたとき、まずはこの大会を開催する計画が浮上しました」
エイジェックは2022年8月に中学硬式野球リーグ5団体とパートナーシップを締結。同月31日にはエイジェックカップの開催を発表して、ちょうど1年で大会にこぎつけた。
「大会を開催するにあたって、5団体それぞれの意向は決して否定的なものではなく、非常にご協力をいただけました。ただ、開催日時、選手の調整期間、ベンチ入りの人数、統一ルールなど細かい問題がたくさんありました。そういった面で5団体の垣根を越えて大会を主催する難しさを実感し、この大会に関わる者たちで模索し続けました。さらに、どこで大会を開催するかということも大きな問題の一つでした」
まず候補に上がったのは、NPBが試合を主催する各地の球場だった。その中で白羽の矢が立ったのは、高校野球の聖地であり、中学生球児にとっても大きな目標となるであろう、阪神甲子園球場での開催だった。
「高校、大学、社会人、プロと、これからも子どもたちが野球を続けていくにあたり、やはりその土台となる中学野球での目標を作りたいという思いが、甲子園で開催する大きな要因となりました。『エイジェックカップに出場すれば、甲子園で野球ができる!』という目標は、きっと中学生でも、より真摯に野球に取り組むためのきっかけになるだろうと考えました。結果として最良の選択だったと感じています」