新戦力、復帰選手の躍動もあり、8月のホームゲームでは2戦連続で劇的勝利を収めるなど、チームは徐々に“サンフレッチェらしさ”を取り戻しつつある。ここから一つでも上の順位を狙うため、チームに必要なものとはーーー。

 サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏が、いよいよ終盤戦を迎えるチームの現状を解説する。(記事中のデータはすべて8月28日の取材時点)

5月の福岡戦で負傷交代。リハビリを経て、浦和戦から復帰した満田誠(写真中央)

◆3カ月半ぶり、歓喜の連勝!上位を相手にアディショナルタイムの劇的勝利

 7月の加藤陸次樹の完全移籍に続き、8月には横浜FMからマルコス・ジュニオールが完全移籍で加入したサンフレッチェ。強力な新戦力が加わったことに加え、満田誠が戦列に復帰したことも、チームにとって非常に大きかったですね。

 満田の復帰戦となった浦和戦(8月13日、○2ー1)では、彼の持ち味ともいえる、すさまじいプレスを見せてくれました。何度も相手ボールを追うなかで、何度か後ろを振り返るのです。まさに「ついてこい」と仲間たちを引っ張るような仕草でしたが、そのときの、サッカー少年のようなきらきらした表情がとても印象的でした。浦和戦ではスタメン出場となりましたが、非常にアグレッシブなプレーの数々に、思わず「もうケガはしないでほしい」と願ったファン・サポーターもいたのではないでしょうか。

 それほどまでにアグレッシブにプレーし、周りの選手を活性化させてくれたということは、チームにとっても非常に大きかったのではないかと思います。満田自身にとっても、復帰戦であれだけのプレーができたからこそ、次の川崎F戦(8月19日、○3ー2)でのゴールにつながっていったのではないでしょうか。

 また、満田が復帰したことで、川村拓夢のプレーがより生きてきたという相乗効果もありました。川村自身、これまでは「なんとか自分が決めなければ」という思いもあったかと思いますが、満田が戻ってきたことで、後方からのアグレッシブな動きやダイナミックなパスといった、彼の強みがより生きるようになってきたと感じます。強烈なシュートを何度も放つなど、そうした動きが出てくるようになったのは、やはり、満田復帰の影響が大きいのではないかと思います。