新戦力、復帰選手の躍動もあり、8月のホームゲームでは2戦連続で劇的勝利を収めるなど、チームは徐々に“サンフレッチェらしさ”を取り戻しつつある。ここから一つでも上の順位を狙うため、チームに必要なものとはーーー。

 サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏が、いよいよ終盤戦を迎えるチームの現状を解説する。(記事中のデータはすべて8月28日の取材時点)

川崎F戦で移籍後初ゴールをマークしたマルコスジュニオール(中央)。8月11日の完全移籍発表から、わずか1週間後の出来事だった。

広島移籍後初出場、初得点! 4人を交わした華麗なるゴール

 川崎F戦(8月19日、○3-2)は、両チームが激しく点を奪い合う、見応えのある試合となりました。セットプレーからピエロス・ソティリウの先制点が生まれたのも素晴らしかったですが、もっともっとセットプレーで点を取っていけるのではないかと感じます。ここまで惜しいシーンは何度もありましたが、残り試合でとにかく勝ち点を積み上げていくためには、セットプレーから確実に点を取っていくことも重要です。

 またこの試合では、マルコスジュニオールのスーパーな移籍後初ゴールもありました。4人に囲まれたなかで、相手を華麗に交わしてゴールに持ち込んでいます。最後のシュートの部分はマルコスの個人技によるものですが、マイボールにするまでは、チーム全体でボールを奪って、全員が前にかかっていったという点に、サンフレッチェらしさがすごく出ていた試合だったのではないかと思います。

 そして川崎F戦では、ファン・サポーターにとってもうれしい満田誠の復帰後初ゴールもありました。ケガから復帰2戦目であり、フルタイムでプレーしたのも川崎F戦が復帰後初。そんななか、アディショナルタイムの最後にゴール前のスペースに入り込んで強烈なシュートを放つというのは、なかなかできることではありません。オフサイドにならないように気を配りながら、マルコスがダイレクトで来ると思った瞬間に縦に入り込んでいく。その瞬時の判断をし、相手GKの位置を見て、強いシュートを放っています。まさに試合を決定づける、満田らしい、素晴らしいゴールだったと思います。