思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。

 今回は、11月23日に行われた「カープファン感謝デー2023」について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

オギリマサホが思い出に残る、カープファン感謝デーでの仮装(イラスト:オギリマサホ)

 11月23日、4年ぶりにマツダスタジアムでファン感謝デーが開催された。私はこれまで一度も現地に赴いてファン感謝デーに参加したことがないので、オンラインであろうがスタジアムであろうが関係ないではないか、と思われるかも知れない。しかし大勢のファンに囲まれて、楽しそうな選手たちの様子を見るのはうれしいものだ。

 抽選で当選したファンが参加するゲームやトークショー、選手たちがチームに分かれての対決など、今年も盛りだくさんのプログラムで進められていた。その中で、特に心に残った事柄を取り上げてみたい。

【女装】
 カープに限らず他球団でも、ファン感謝デーの際に選手が女装をするというケースは割とよく見られる。今年のカープの場合、韮澤雄也・二俣翔一・河野佳・田村俊介・斉藤優汰といった若手選手がマツダスタジアムのビール売り子の格好をしてCCダンスを踊るイベントと、中村健人・羽月隆太郎・石原貴規・大道温貴がセーラー服を着てライトからレフトまで走るという障害物リレーの種目がそれにあたる。

 他球団の同様のイベントでは、選手たちは念入りに化粧を施され、気合の入った女装になることがほとんどである。しかしカープの場合、選手たちは「ただスカートを穿いただけ」という感じの仕上がりとなるのが恒例だ。手元にある『カープファン』1987年1月号に掲載されている1986年のファン感謝デーの写真を見ても、「ミイラのお面をかぶった花嫁姿の津田恒実投手」「魔法使いのおばあさんに扮した高木宣宏投手」など、いずれもただ衣装を着ているだけなので、「化粧をしない雑な女装」というのはカープの伝統なのかも知れない(一昨年のファン感謝デーでは『メイクにチャレンジ』として、遠藤淳志・林晃汰・藤井黎來が化粧をするイベントがあったが、珍しいケースである)。

【キャッチフレーズ】
 ファン感謝デーの最後に来シーズンのキャッチフレーズが発表されるというのも、恒例になっている。2018年の「℃℃℃」以降、かっこいいというよりは奇想天外なキャッチフレーズが続いているので、発表の瞬間には妙な緊張感がよぎる。発表役の堂林翔太が掲げたボードに書かれていたのは「しゃ!」。これまでで最も短いキャッチフレーズである。
この「しゃ」には、勝者、がむしゃら、しゃにむに、よっしゃ、等々、さまざまな意味が込められているそうだ。私自身が思い浮かべる「しゃ」と言えば、ムツゴロウさんが動物に話しかける時と、うちの猫が威嚇する時くらいしかないのだが、この印象が来シーズンどのように書き換えられるのか、今から楽しみにしている。

 【挨拶】
 今年のファン感謝デーは特別なものとなった。国内FA権を行使してオリックスに移籍する西川龍馬が、ファンに向けて挨拶を行ったからだ。これまで、「FA権は選手の権利なのだから」とか「以前からオリックスに行きたいと言っていたのだから」など、移籍について冷静に見ようとしていた自分がいた。しかし西川の「8年間本当にお世話になりました。カープに来て良かったです。ありがとうございました」という言葉を聞いた時、泣けてきた。頑張ってほしいと思う気持ちもありつつ、やはり寂しい気持ちがあるのだ。

 今年は、しんみりとした気持ちになりつつ、来シーズンもカープを応援しようと改めて思うファン感謝デーとなった。