新井貴浩監督1年目となった2023年シーズンのカープは、全員野球で周囲の下馬評を覆す戦いを展開し、5年ぶりAクラスとなるリーグ2位となった。

 チーム快進撃を続けていたが、主軸打者の離脱もあり打線固定には苦戦した。特に中軸である4番打者に関しては7選手が起用された。菊池涼介、上本崇司らサプライズ起用を経て、シーズン終盤に西川龍馬が離脱した際に“プロ初の4番起用”となったのが、プロ14年目の堂林翔太だった。

 堂林は昨季、前半戦こそ苦しんだが球宴明けから好調な打撃を見せた。8月には月間打率.371、5本塁打、13打点と、主力打者が離脱した時期にバットでチームを支えた。9月12日に4番に抜擢されると、シーズン終了まで固定された。昨季は結果的に3年ぶりの二桁本塁打となる12本を放ち、改めて長打力を発揮し、オフには選手会長に就任した。

 ここでは、今季カープのチームリーダーとして期待がかかる堂林のプロ入りから昨季までの改めて振り返っていく。(全2回・後編/2017年〜2023年まで)

2024年シーズンから選手会長を務める堂林翔太

【前編はこちら(2010年〜2015年)】

◆2017年 師・新井と初の護摩行へ

 オフから新井貴浩に弟子入りし、1月の自主トレでは志願して護摩行に初参加。精神面でも心機一転を図り、3年ぶりに一軍で開幕を迎えた。しかし打撃で安定した成績を残せず、前年同様にまたも一軍と二軍を往復。チーム連覇の力になれなかった。

◆2018年 代打・代走で連覇を支える

 2年連続一軍スタートを果たす。4月に負傷離脱した4番・鈴木誠也の代役で、ライトスタメンで出場機会を得たが目立つ成績を残せず、一軍では代打、代走、守備固めが中心に。チームが3連覇を果たす中、この年も一軍定着とはならなかった。

◆2019年 5年ぶりのサヨナラ打も 苦境は脱せず……

 3年ぶりにサード守備に再挑戦し一軍スタートを切るが、またもポジション争いに勝ち切れず。シーズン終盤に5年ぶりのサヨナラ打を放つも、目立った活躍はこの一打のみ。一軍出場はわずか28試合、放ったヒットは7本と、すべての数字で苦しむ結果となった。

◆2020年 6年ぶりの開幕スタメン! 自身のキャリアハイをマーク

 オフに後輩の鈴木誠也と自主トレを行い、オープン戦から好調をキープ。「6番・ファースト」で6年ぶりの開幕スタメンを勝ち取った。

 7月に起死回生の逆転満塁弾を放つなど1年を通して活躍。111試合に出場、打率.279、14本塁打、58打点、17盗塁を記録し、本塁打は自己最多タイ、打率、打点、盗塁数でキャリアハイの数字を残すなど主力として活躍した。

◆2021年 大きな期待が寄せられるも まさかの打撃不振に

 二軍では好調も、一軍出場は70試合で、137打数26安打、5打点で打率.190、本塁打0と低迷。国内FA権を取得したが行使せず、早期に残留を表明した。

◆2022年 ここぞの場面で存在感を発揮!

 101試合に出場し打率.243、8本塁打、28打点、1盗塁。本塁打は内6本が試合を決める殊勲打で、代打としても打率.303、3本塁打と要所で存在感を放った。また内野手登録ながら、スタメン出場55試合のうち53試合が外野手での起用だった。

◆2023年 4番・堂林誕生! シーズン12本塁打を記録

 夏場に調子を上げ、特に8月は打率.371、本塁打5本、打点13をマーク。9月にはプロ初の4番に座り打線をけん引。チーム日本人トップタイの12本塁打を放った。オフに2024年の選手会長就任が発表された。

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