2023年、カープは5年ぶりのAクラスとなる2位となった。新井貴浩新監督のもと、全員野球で戦う中で中堅選手たちの踏ん張りも目立った。投手陣ではプロ10年目の節目を迎えた九里亜蓮が年間通じて投手陣を支えた。

 先発の柱の1人として開幕からローテを守り続けて、リーグトップのイニング数を記録するなど、5年ぶりAクラス入りに大きく貢献。クライマックスシリーズでは中継ぎ登板、先発とフル回転した。

 ここでは、昨シーズン後に収録した背番号11のロングインタビューを改めて振り返る(全3回・後編)

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2023年のCSでは、中継ぎ、先発とフル回転した九里亜蓮

◆中継ぎ、先発とフル回転のCS残ったのは悔しさだけ

─ここからはCSについて伺います。地元マツダスタジアムでの戦いとなったファーストステージでは、中継ぎでの待機となりました。どういう心境でしたか?

「『行け』と言われたときに、しっかり腕を振るだけだと思っていたので、いつもとやることは変わりませんでした」

─第1戦目は延長10回からマウンドに上がりました。試合の流れを引き寄せる力投でした。  

「普段の先発と比べて、入りとしては1番打者からではなく、クリーンアップからでしたので、その違いを感じました。ただ、マウンドに上がってからは、シーズン中と変わらず、打者一人ひとりと勝負して、1つずつアウトを重ねていくという気持ちで挑みました。ですので、いつもと変わりなくやれたと思います」

─またファーストステージを地元マツダスタジアムで行うことが初でした。登板して雰囲気はいかがでしたか?

「マツダスタジアムのファンの皆さまの声援というのは、ものすごいパワーがあると思っています。いつも以上に力をもらえたというか、その感覚はありました」

─ファーストステージ2連勝でファイナルステージへ進出しました。九里投手は、中3日で初戦に先発されました。

「僕としては『交代』と言われるまでは、一生懸命自分のできる限りのことをやろうと思ってマウンドに上がりました」

─甲子園球場は多くの阪神ファンの中での戦いとなりました。マウンドに上がった時の雰囲気はいかがでしたか?

「いや、特に変わらずですね(笑)。僕はあまりプレッシャーに感じることはなかったです。いつも通り試合に入って、変わらないメンタルでマウンドに上がりました」

─結果的に5回3失点という内容でした。1戦目の投球を改めて振り返っていかがでしょうか?

「もう本当に悔しかったです。チームの勝ちにつながるようなピッチングができなかったので……」

─阪神打線は打線は他球団に比べて投げにくい感覚などはありましたか?

「それはあまりないですね。どのチームと対戦する時もそこまで意識はしていないです。というのも、いろいろ考えてマウンドに上がってしまうと、逆に考えすぎて頭でっかちになるのが嫌なので……。僕の性格的なところもあるとは思いますが、『打者と勝負する』ということを常に意識して投げているので、『この日に限って』ということはあまりありませんでした」

─日本シリーズ進出を目指しましたが、結果的に阪神に3連敗でした。 

「繰り返しになりますが、本当に悔しいの一言です。僕が初戦でチームに勝ちがつくような投球ができていたら、流れが変わっていたのかもしれないですし……」

─改めて5年ぶりのCSはいかがでしたでしょうか?  

「新井監督や 藤井(彰人)ヘッドコーチも言われていましたが、短期決戦は本当にあっという間でした。それは3連覇の時にも感じたイメージと同じでした。短期決戦ならではの怖さ、一球、一瞬で雰囲気が変わって、一気に勢いも変わるなどあり得ることが短期決戦だと思いました」

─10年目のシーズンを終えて、九里投手にとってどんなシーズンでしたか?

「いろいろな面でレベルアップを求めて、アメリカでのトレーニングからスタートしたシーズンでしたが、僕自身は手応えを全くに近いほど感じられていないですし、自分自身がもっとレベルアップしないといけないとすごく感じたシーズンでした。そして悔しい気持ちもありますし、この気持ちを忘れず練習を重ねて、さらに進化した姿を見せなければいけないと思えたシーズンでもありました。もっとやらなければならないと気づかせてもらいました」

─それでは最後に、カープファンのみなさまに向けてメッセージをお願いします。

「レベルアップします! の一言でお願いします! ぜひ、見ていてください。まだまだ僕は変わります」

─短い言葉に九里投手の強い決意を感じます。

 「いろいろなインタビューを読んでいると“これからも変わらず温かい声援をお願いします”という風に言っている選手が多い気がしていたので、 僕は短めに『宣言』にさせていただきます」

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