カープ堂林翔太にとって“師”と仰ぐ新井貴浩監督がカープを率いることになった2023年。改めてその存在感を見せたシーズンだった。

 前半戦こそ結果を残せず苦しんだが、主軸打者に離脱が相次いだ夏場、堂林は打撃でチームを支えた。そして終盤には自身初の4番も経験し、結果的に3年ぶりの二桁本塁打をマーク。オフには選手会長に就任も決まり、今季はチームリーダーとしての役割も期待される。

 昨シーズン堂林はどのように変わったのか。ここでは昨シーズン終盤に語った自身とチームへの思いを改めて振り返っていく(全2回・後編)

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プロ14年目となった昨季、自身3年ぶりの二桁本塁打を放った堂林翔太

◆頭と体が一致した

─現役時代の新井監督と堂林選手は、トレーニングを一緒に行うなど、師弟という関係性がありましたが、監督と選手となった今現在は、そういった関係性はどうですか?

「変わらないですね。それは僕にとってとても大きなことです。僕だけでなく、若い選手たちにも、分け隔てなく接していただけるのは、選手たちもとてもありがたいと感じていると思います。僕は監督の現役時代に一緒にプレーさせていただいているので、あの泥臭いプレーや雰囲気、 最後まで諦めない気持ちといった部分は、なかなか真似できることではないです。でも必死さを出していけたら、よりチームの勝利にも近づくと考えています」

─新井監督のインタビューや試合後のコメントを拝見させていただくと、非常に前向きな発言が多く、選手を支え、褒めて伸ばすという印象を強く受けます。

「失敗を恐れず思い切ってやれという背中を押していただけるのは、とても心強いですね」

─堂林選手は特に夏以降、打撃の調子が上向きになってきました。意識を変えた、技術的な進化など、要因はあったのですか?

「シーズン最初は、試合に出たり出なかったりで、特に左投手との対戦が多かったので、なんとか結果を出そうとは思っていたのですが、なかなかうまくいきませんでした。どうして結果が出ないだろうと思いながら、いろんな人のアドバイスを聞いていました。それで、7月ぐらいから ロングティーを全体練習前に取り入れてみました。それも、ただ遠くに飛ばすだけではなく、低いライナーでスタンドインさせるぐらいの、球を上から潰すイメージで球を捕らえるロングティーです。松山(竜平)さんに相談したら、そういう感覚でいいと思うと、アドバイスをいただけました。その感覚がとても良かったので、試合でもそのままやろうと思って臨んだら、結果が付いてきた感じです。頭と体が一致したというか、球を潰してから抱き上げるという感覚で打ったら、低い打球でも外野手の頭を越えたり、ホームランになっています」

─これまでも当然、ロングティーの練習はされていたと思いますが、以前とは違う感覚ですか?

「もちろんやっていた時期はありました。ですから今年は、感覚的に一まわりしてできているのだと感じます。今はこれが上手くハマっていますけど、また来年以降、違う課題が出てくると思います。でも違う壁にぶち当たったら、またそれを乗り越える方法を探せばいいと思っています」

─年齢的には、中堅選手となってきましたが、若手選手との競争やアドバイスなど、どういう意識でチームの中でプレーされていますか?

「僕は元々レギュラーから始まっているわけではありません。たとえばケガ人が出たときは、すぐに自分が行くぞという準備をしています。開幕からチャンスをいただいていた時期もありましたが、今みたいに毎日試合に出ることがなかったので、そんな時に結果が出せたというのは、チームの力になれたと思っています」

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