カープ堂林翔太にとって“師”と仰ぐ新井貴浩監督がカープを率いることになった2023年。背番号7はプロ14年目のシーズンを迎えていた。

 前半戦こそ結果を残せず苦しんだが、主軸打者に離脱が相次いだ夏場、堂林は打撃でチームを支えた。そして終盤には自身初の4番も経験した。結果的に3年ぶりの二桁本塁打となる12本を放ち、新井監督の元で存在感を見せつけた。そしてオフには選手会長に就任が決まった。

 昨シーズン、堂林はどう変わったのか? 昨シーズン終盤に語った自身とチームへの思いを改めて振り返っていく(全2回・前編)

2023年シーズンは自身初の4番に抜擢された堂林翔太。今季は選手会長に就任した

◆チーム全体で、 選手の背中を押してくれる

─2023年シーズンは開幕4連敗からスタートとなりました。

「なぜか慌てることはありませんでした。新井監督が普段から口酸っぱく言っていたのが『一戦一戦』ということでした。それは今でも変わらず、僕たちも慌てずに地に足を付けて戦えていると思っています」

─新井貴浩監督が言い続けることで、堂林選手をはじめ選手のみなさんも、自然と意識できるようになってきた感じでしょうか。

「もちろんシーズン初めは、先のことは考えてはいませんでしたが、監督の姿を見ていたら、 その気持ちが選手にもしっかりと伝わってくるというか、醸し出す雰囲気から、僕たちに安心感を与えてもらえる感じがします。『良いことよりも、きついことの方が多い』、『辛い時は俺を見ろ』と、シーズン最初に監督から言われ、実際そう思って戦っていくと、しっかりと試合に集中できています」

─今シーズンは、優勝争いに絡んで戦っています。2016〜2018年の3連覇をしていた時のチームと、今年のチームを比較して、堂林選手が感じる違いはありますか?

「3連覇の時には、僕はあまりチームの力になれていませんでした。当時ベンチに入らせてもらっていましたが、特にマツダスタジアムで戦っている時の雰囲気、見に来ていただいているお客さんも含めて、『まだいけるぞ』という雰囲気は、当時と比べても似たところをすごく感じます」

─今年はマツダスタジアムで、大きく勝ち越しています。ホームで戦っている選手のの意気込み、ベンチの雰囲気というのはいかがですか?  

「すごく良いですね。雰囲気も良いですし、球場全体の雰囲気もカープファンのみなさんに良くしていただいていると感じています。逆に戦っている相手チームにとっては、すごく嫌な印象があるんじゃないかなと思っています」

─今シーズンからは鳴り物での応援や、声出し応援が解禁されました。選手の立場からすると、この大きな声援はどう感じていますか?  

「久々でしたし、チームメートの応援歌を聞いていたら、懐かしさを感じながら戦っています。逆にこの応援が初めての選手にとっては、雰囲気に慣れない者も最初はいたのかもしれませんね」

─チーム成績を見ると、盗塁数が伸びて機動力を使った野球で得点を重ねる印象が強くあります。新井監督就任当初から、機動力の重要性を口にされていますが、そのあたりはチームの意識も含めてどう感じていますか。

「盗塁数は明らかに増えています。監督やコーチが『失敗しても良いからチャレンジしろ』ということを、日頃から言われているので、その言葉や意識が選手一人ひとりの背中を押してくれています。とにかく失敗を恐れるな、思い切っていけということは、走塁だけでなく打つ方でも常に言われている言葉です」

─それが、結果としてチームの結束力にもつながっているのでしょうか。

「そうですね、監督自身もベンチで声をしっかりと出されています。現役の頃とほとんど変わらないくらい、大きな声を出されています」

─新井監督は、現役時代からチームのことを『家族』と表現されていますが、監督という立場になられてもその雰囲気を感じますか?

「普段のたわいのない会話でも、野球のことでも、いろいろと声をかけてくださっています。若い選手たちともすごく会話をされているのを目にします。コミュニケーションをたくさん取っていらっしゃると思います。僕とも野球や技術的なことも含めて、よく話しをしてくださるので、そういうやりとりからも、家族的な雰囲気を感じることがあります」

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