直球勝負で3連覇中のブルペンを支え続けてきたカープ一岡竜司。本来であれば“勝利の方程式”の一角として連日、熱闘を繰り広げているはずだった。

 開幕延期となり順調に調整を続けてきたものの、6月に入ってからの練習試合では1イニングを投げきれずKOされるなど結果を残せず、まさかの開幕二軍スタートとなった。本来であれば、セットアッパーとしてブルペンを支える役割が期待されていただけに、早期の復調が望まれる。

再び一軍リリーフ陣を支える投球が期待される一岡竜司投手

 オープン戦では一定の結果を残すなど復調気配を見せていた一岡だったが、無観客試合での練習試合での登板を重ねる中で、次第に違和感を感じていた。

「オープン戦序盤まではかなり状態も良かったんですが、練習試合では若干調子が落ちていました。その要因は技術的な部分もありますけど、やっぱり一番は本来あるはずのファンのみなさんの声援がないことが大きいです。僕らのような投手にとって1点差のピンチの場面で抑えたりするのが最大の見せ場だと思うんですが、そこで抑えても盛り上がりがないとアドレナリンも出ません。無観客でやっていた時期は打たれて気持ちが冷めて、抑えてもホッとするだけの繰り返しだったので、気持ち的にもギアの上げ方が分からないまま進んでいました」

 普段と違う状況での登板による微妙な気持ちの揺れは球に乗り移り、本来の投球とは違う方向に進んでいる感覚もあった。本来、一岡は140キロ台前半でも空振りが取れるスタイルを理想としている。しかしながら、気づかぬうちに力に頼った投球スタイルになっていた。

「良いときは6、7割の力で投げていても、140キロ台の球が出るんです。言い換えれば、130キロの腕の振りで140キロが出せる感覚です。今年はスピードに走ってしまったので、それが裏目に出てしまったかなと思います。春先はちょっと意味合いが違う力強さを求めてしまったのかなと反省しています。今は間違いに気づいて、もう一度自分の投球スタイルに立ち返っています」

 昨シーズンの不振を勤続疲労と捉える向きもあるが、そこは本人の中では否定的だ。実際、今年はコンディション的に問題ない状態で本人が思った以上に球速も出ていた。だが、実戦での投球内容には満足することなく、自分の投球スタイルを改めて模索する日々を送っていた。