Jリーグの歴史を振り返ると、移籍を経験することなく、ひとつのクラブでプレーし続ける選手はそう多くはない。ましてや、20年以上同じクラブに在籍するとなるとなおさらだ。

 2024年シーズンで広島在籍21年目の青山敏弘は、優勝の喜びも降格の悔しさも、そのすべてをファン・サポーターとともに味わってきた。チームの象徴となったMFが語る、現在のサンフレッチェ広島の強さとは。今シーズンにかける思いにも迫った。(全4回・第4回目)

今シーズンのキャンプでの1枚。降り頻る雨のなか、トレーニングマッチにキャプテンマークを巻いて出場した。

みんなで喜び合うその瞬間、自分もピッチに立っていたい。

ー近年のサンフレッチェは若い選手が台頭し、年々チームの雰囲気も変わってきていると思います。青山選手が、もっとも変化や成長を感じている部分はどこでしょうか。

「一番は、センターを司る選手たちが頼もしくなってきているなと感じています。GKの大迫敬介であったり、CBの荒木隼人であったり、ボランチであれば川村拓夢、前線であれば満田誠と、センターラインは絶対に外せないんですよね。そこのポジションを担う選手たちが育ってきているというのは、ここからもっとチームが成熟していくのだという期待を感じさせてくれます。この先どうなるかはわかりませんが、サンフレッチェとしての軸は非常に太くなってきている最中だと思います。クラブのこれからを考えると、FWも絶対必要になってくると思うので、そこをみんなでつくり上げることができれば良いなと、僕自身はそう考えています」

ースキッベ監督はキャンプでも非常にハードなトレーニングをされると伺いましたが、疲れの蓄積などはありませんか?

「疲れるのが当然ですよね、キャンプなんですから。ただ、その疲れを楽しめるかどうかだと思います。もちろん、ついていけない時もありますし、逆にコンディションが良すぎて体が動いてしまうこともあります。体の準備ができていないのに動きすぎると、ケガをしてしまうこともあります。周りの選手を見ていても、『あれだけ動いていたら、痛くなるよね』と思うこともあります。僕自身も全力でトレーニングに取り組んでいるので、その姿を若い選手たちがどう感じているかは気になりますね。もしかすると、 『青山さん、もっとやってよ』と思っているかもしれません。ただ、若い選手たちがそうやって厳しい目で僕たちのことを見てくれて、『先輩であっても絶対に負けない。俺はもっとやるんだ』と思ってもらえたり、そういう姿が見えるのもうれしいじゃないですか」

ー今回は青山選手の意外な一面をお伺いできたような気がします。

「こんな風に考えている、そんな青山もいるんだよ、ということですね」

ー新スタジアムでの新シーズン、ファン・サポーターのみなさんも期待されていると思います。

「新スタジアムでプレーできる喜びや思いと共に、1日1日、1試合1試合、練習のセッション一つひとつを噛み締めながら過ごしていければ、ファン・サポーターに伝わるものがあると思います。その先に、クラブとして優勝争いや優勝を目指していけると良いですね。僕自身、そこにどう携わっていくかを楽しみにしながら、自分の役割はあると思っているので、その時のためにしっかり準備するだけですね。みんなで喜び合う瞬間に、自分もそのピッチに立つこと。その瞬間に思いを馳せたいと思います」