カープの開幕投手はプロ11年目で初となる九里亜蓮で決定した。先発ローテを形成する昨季11勝の床田寛樹、大瀬良大地、森下暢仁ら実力ある投手もここまで順調な調整を見せている。

カープ投手王国と呼ばれた時代、左腕エースとして131勝を記録した川口和久

 そしてローテ入りを目指す若手投手の争いが熾烈を極める中、必死のアピールを続ける若手の1人が黒原拓未だ。2021年のドラ1左腕は期待されながらも、過去2年間は思うような結果を残せていない。しかし昨季は二軍で6勝、防御率2.58と今季につながる数字を残し、今キャンプでは対外試合でも結果を出している。

 今季は床田に次ぐ左の先発としてローテ入りが期待される黒原は、カープとしては2007年の篠田純平以来となる1位指名左腕だ。ここでは改めて、カープが初優勝以降に獲得した“ドラ1左腕投手”を振り返っていく。

◆2007年大学社会人ドラフト1巡目 篠田純平
<通算成績:99試合 20勝26敗 防御率4.24>
 高校生ドラフトと大学・社会人ドラフトが分かれていた2007年の大学・社会人ドラフト1巡目で指名されたのが日本大の篠田だった。この年のドラフトでカープは1度目の長谷部康平の抽選を外し、2度目の入札でオリックス、巨人と競合の末に交渉権獲得だった。1年目から一軍登板し、3勝を記録。3年目の2010年には自己最高となる6勝を挙げた。その後は不本意なシーズンが続き、2015年限りで現役引退。現在は球団職員として活躍中だ。

◆1999年ドラフト1位 河内貴哉
<通算成績:166試合 16勝28敗 防御率5.06>
 ドラフト前から国学院久我山高の超高校級左腕として注目されていた河内。ドラフトでは近鉄、中日との競合となりカープが交渉権を獲得した。甲子園出場経験のない高校生の1位指名競合は、江夏豊以来だった。背番号は前年引退した大野豊の背番号24を受け継ぐなど期待されての入団だった。高卒新人ながら初勝利を挙げ、2004年には自己最多の8勝を記録。2008年に左肩の手術を受け、長いリハビリを余儀なくされたが、2011年に中継ぎとして復活した。2015年限りで現役引退し、球団の一軍広報として活躍している。

◆1986年ドラフト1位 栗田聡
<通算成績:一軍登板なし>
 社会人時代は三菱重工神戸で都市対抗野球で活躍していた栗田。カープが5度目のリーグ優勝を果たしたオフの1986年ドラフトで1位指名を受け入団。同期入団には緒方孝市(3位)がいた。即戦力左腕として期待されていたが、入団後は故障もあり一軍登板なしで1990年に自由契約となり、その後は近鉄でプレーした。

◆1980年ドラフト1位 川口和久
<通算成績:435試合 139勝135敗4S 防御率3.38>
 カープが2年連続日本一に輝いた1980年オフのドラフトで1位指名したのが、社会人・デュプロの川口和久だった。ちなみに最初の1位指名でカープは原辰徳を指名していた。プロ2年目に4勝を挙げると、3年目に15勝で先発ローテに定着。その後は投手王国と呼ばれたチームの中で1986年から6年連続二桁勝利を記録するなど、左腕エースとして活躍した。1994年までに131勝を記録。1994年オフに巨人に移籍し、1998年に現役引退した。