2月23日、J1リーグ開幕戦が行われ、他会場に先んじてサンフレッチェ広島-浦和レッズ戦が、今季から広島の新ホームスタジアムとなる、エディオンピースウイング広島で行われた。公式戦オープニングマッチとなった一戦には、広島サポーターはもちろん、多くの浦和サポーターも駆けつけたことで満員御礼となり、試合前から新スタジアムは盛り上がりを見せた。

開幕戦で勝利し、喜びを分かち合うサンフレッチェ広島の選手たち

 昨シーズン、広島(昨季3位)と浦和(昨季4位)は最終節まで3位争いを演じており、今シーズン上位争いが予想されるチーム同士の好カードとなった。記念すべき新スタジアム初公式戦となった広島のスタメンには、故障から復帰のGK大迫敬介、3バックに佐々木翔、荒木隼人、塩谷司の経験豊富なDF陣、そして前線には湘南から新加入の大橋祐紀らが名を連ねた。

 試合前には花火と共に選手が入場し、国歌独唱には広島出身の俳優で歌手の吉川晃司さんがサプライズで登場するなど、新スタジアム初公式戦にふさわしい演出でスタートとなった。

 試合は前半5分、浦和MF小泉佳穂がペナルティエリア左からシュートを放つも、広島GK大迫が好セーブ。「ドリブルが得意な選手と分かっていて、いつシュートを打たれても良いような準備をしながら、味方もボールに対してしっかりついていたので、そのおかげもあったと思います」。その後も浦和は25分に関根貴大、26分にはCKからショルツが立て続けに枠内にシュートを放つも、いずれも大迫が防ぎ得点を許さなかった。

 固い守備で浦和の攻撃に耐えた広島は前半終了間際に、記念すべきシーンが訪れた。前半45分、MF川村拓夢のミドルシュートを浦和GK西川周作が弾くと、FW大橋祐紀が右足で押し込んで先制。「拓夢が練習から良いミドルシュートを打っていたので、拓夢が打つ瞬間に『これは、こぼれてくるかな』と思って詰めていました」。移籍後初ゴールとなった大橋のこの得点は、新スタジアム公式戦初ゴールというメモリアルゴールとなった。

 後半も広島が優勢に試合を進めた。後半9分、FW大橋がペナルティエリア内で倒されPKを獲得。FWピエロスがPKを外すも、直後の後半10分、左サイドからFW加藤陸次樹のクロスにFW大橋が頭で合わせた。「陸次樹がカットインしてクロスを上げてくれたときに、DFの前に入ろうと思っていました。そのタイミングですごく良いボールを良いコースに差し込んでくれた結果だと思います」。この日2得点目となる大橋のゴールで浦和を突き放した。その後浦和も決定機をつくるも、広島DF陣の体を張った守備で得点を許さず、広島が新スタジアム公式戦オープニングマッチで初勝利を飾った。

 試合後、広島のスキッベ監督は「開幕戦にふさわしい、緊迫感のある試合でした。大迫敬介の素晴らしいセーブから始まったなという感じがします。時間が経つにつれて自分たちも落ち着いてきて、守備が安定したところから自分たちの強さを見せられたと思います」とまずは守備陣を称えた。また2得点を決めた大橋については「昨年(加藤)陸次樹がチームに来たときと同じような感じで、自分たちの攻撃のバリエーションが増えたと思っています。彼自身にとっても湘南から広島にきて、初戦で良いマッチウィナーになれたとというのは良かったと思う」と評価した。

 開幕戦で2得点といきなり存在感を見せた大橋は「2点とも自分だけの得点ではなく、そこに過程があってのゴールです。そのクオリティだったり、自分の特徴をこれからもっと出していきたい。(新スタジアムについて)素晴らしい環境の中でやらせていただいて、その責任とプレッシャーを感じながら楽しんでプレーできました。歓喜の瞬間をたくさん味わっていきたいなと思います」と喜びを噛み締めながらも、引き締まった表情で先を見据えた。

 最高の形で2024年シーズンをスタートしたサンフレッチェ広島。新スタジアムでの記念すべき初勝利の勢いで、開幕ダッシュにつなげていきたいところだ。