ほぼ手中に収めていた勝利が、まさかの“守乱”でスルリとこぼれ落ちた。

 試合の入りは上々だった。神戸戦の反省を生かすようにゲーム序盤はボールを支配し、大半のプレーは大分側のエリアで進行。10分にはドウグラス・ヴィエイラが前線でボールを奪い、青山敏弘のワンタッチパスからレアンドロ・ペレイラのゴールが生み出された。

サンフレッチェが地元に凱旋。大分戦はリモートマッチで行われた。

 序盤から今季の象徴でもあるショートカウンターが発動する理想的な展開。この時点では鹿島戦、神戸戦に続く複数得点への期待も高まっていた。ところが1度目の飲水タイムを境に、急激にサンフレッチェの足が止まり始める。大分にボールを支配される時間が圧倒的に増え始め、雲行きは時間の経過と共に怪しくなっていった。

 後半に入っても序盤以外は、大分の攻勢が目立つ展開となった。そして後半33分に野上結貴が退くと、大分の左サイドからの攻めを誘発。大迫敬介のファインセーブで耐え凌いでいたが、後半40分についに同点弾を許してしまった。このシーンについて、20歳の守護神は前を向きながらも反省の弁を口にした。

「自分が前に出るべきか、味方に任せるべきか。その判断が良くなかったです」

 1失点目は大迫と荒木隼人の間に送られたロングパスに対し、二人がお見合いをするような形でボールをスルー。一足先に頭で合わせられ、無情にもボールは無人のゴールに転がっていった。2失点目も大迫の前線へのフィードをカットされ、左からの崩しで大分が逆転に成功。2点とも防ぎようのあった失点だけに、試合後には重苦しい空気がピッチ上を支配した。城福浩監督も、試合後には無念の思いを口にしている。

「勝点0で終わってはいけない試合だったと思います。可能であれば時間を巻き戻したい、そんな試合でした。選手は今日で多くを学んだと思うし、我々も今日の学びを次に生かさないと今年みんなで掲げている目標には届かない。次がすごく大事だと思います。ひさびさのホームゲームを楽しみにしてくださったサポーターの方々、開催に尽力していただいた方々には非常に残念な結果をお届けすることになりましたが、しっかり顔を上げて、次は『この試合がここに生きたんだな』と思ってもらえるような試合をしたいと思います」