2023年のドラフト会議でカープが指名した選手は8選手。そのうち6名が大卒選手であり、高校生、しかも野手で指名を受けた選手はただ一人だった。沖縄の名門高で主力を務めた仲田侑仁は、ふるさとから遠く離れた広島の地でカープの4番を目指す第一歩を踏み出した。ここでは、ルーキー・仲田侑仁の独占インタビューをお届けする。(全2回・第1回)

新人合同練習に参加する仲田。2月にスタートした春季キャンプでは、二軍に帯同し体づくりに励んでいる。

一度は諦めたプロ野球選手への道。自身も驚いたドラフト4位指名

—カープに入団されて約2週間が経ちました(取材は1月23日)。広島での生活には慣れましたか?

「はい、だいぶ慣れてきました。(取材当日は雪)寒さも大丈夫です。広島はすごく住みやすいなという印象です。宮島にも、同期入団のみんなで行きました。参道で食べ歩きもしたのですが、やっぱり牡蠣が美味しかったですね」

—同期入団の選手は大卒の常廣羽也斗投手をはじめ、年上の方が多いのですが、環境としてはいかがですか?

「みんな構われたがりですし、構ってくれますし、結構可愛がってもらっていると思います。特に『かまってちゃん』なのは、杉田健投手や赤塚健利投手ですね(笑)。歳の差に関係なく、親しくしてもらっています」

—改めてカープから指名を受けた時の心境を教えてください。

「指名をされた時は、すごくうれしかったです。ただ、指名があっても下位指名か育成だと思っていたので、4位指名という順位には驚きました」

—カープ入団が決まった時の、周りの反応はいかがでしたか?

「みんな、『カープで本当に良かったね』と声をかけてくれました。入団してまだ日は浅いですが、大野寮の練習環境もすごく良いと感じています。寮と練習場が近いので、練習したい時にすぐ練習できるところが一番良いですね。野球に適していて、野球に集中するにはとても良い環境だと思っています」

—地元・沖縄を離れて生活するのは初めてですか?

「はい。ただ、周りのみんなが構ってくれるので、地元にいる頃よりも楽しいかもしれません。僕は家にいると考えすぎてしまうので、外に出たくなるタイプなんです。なので、基本的には外にいました。友達と一緒にいるのも好きなので、今の環境はすごく良いと感じています」

—仲田選手が野球を始めたきっかけを教えてください。

「僕はもともとサッカーなど他の競技にも興味があったのですが、野球をしていた父に勧められて、小学2年生の時にプレーするようになりました」

—ご自身で進んで野球をされるようになったのではなかったのですね。

「実はそうなんです(笑)。当時、欲しかったゲーム機があって、それを買ってあげるから野球をやらないかと言われて始めました。ただ、父は本当に野球が好きで、子どもには野球をやらせたかったんだと思います。カープから指名がかかった時には、すごく喜んでくれました。きっかけはゲーム機ですが、野球を始めてからは、目標はずっとプロでした。高校に入って、周りのレベルの高さに一度は諦めようと思ったこともあるんです。特に高校1年の時は試合にも出ることができませんでした。ただ、2年の時にYou Tubeで見た巨人の岡本和真選手のフォームを真似するようになってからは、だんだん打撃も上向いていきました。試合のメンバーにも入ることができるようになって、『まだいけるかもしれない』と感じるようになり、プロを諦めることなく目指しました」

(後編へ続く)

仲田侑仁(なかだ・ゆうと)

2005年7月31日生、沖縄県出身
右投右打/内野手
沖縄尚学高ー広島(2023年ドラフト4位)